11月16日に福島県庁で、ある記者会見に出席しました。
会見したのは、以下の4人の方々です。
- 野池元基氏(大手広告代理店・電通による復興PR事業を調査)
- 海渡雄一氏(東電刑事裁判の被害者代理人を務める弁護士)
- 武藤類子氏(原発事故被害者団体連絡会)
- 今野寿美雄氏(子ども脱被ばく裁判・原告団長)
4人が会見で話した主な内容を以下に報告します。
- 原発事故直後の2011年3月19日、福島県は「放射線健康リスク管理アドバイザー」の役を山下俊一氏、高村昇氏、神谷研二氏の3人に頼んだ。3氏はその後県内各地で講演を行った。
(※筆者注。3氏はいずれも放射線被ばくに詳しい“専門家”。この講演で「放射能安全言説」が振りまかれたことはすでに指摘されている。「山下発言」の詳細は、こちらの記事で↓)
https://uneriunera.com/2021/04/04/kodomodatsuhibaku8/ https://uneriunera.com/2021/10/21/kodomodatsuhibaku12/ - 福島県が彼らを「アドバイザー」に就任させた経緯を知るために当時の文書を情報開示請求した。福島県が出した3氏に出した「委嘱状」などの文書は得られたものの、書類内に書かれている「報酬額」は“黒塗り”にされていた。非開示の理由は「個人情報だから」ということだった。
- しかし、たとえば福島県伊達市(福島市の北隣)では田中俊一氏(原子力規制委員会の初代委員長)に放射線アドバイザーという役職への就任を頼んでいるが、その際の報酬額は10万円と公開されている。福島県が報酬額を非開示にするのは不当である。
- 原発事故に関わる事業をきちんと検証することは社会的責務であり、そのためには公的な情報のいっそうの透明化が必要不可欠である。この状況を知ってもらうために記者会見を開いた。
確かにおかしな話だと思います。公金が使われているわけですから、報酬額を明らかにするのは当然です。「非常識なほど高い報酬なのだろうか?」と疑ってしまいます。この件に関して、情報開示請求をした野池氏は、非開示はおかしいとして「審査請求」を行っていますので、今後どのような判断が下されるか注目されます。
会見で野池氏や海渡氏は、「3氏の報酬額よりもさらに重要で検証が必要なのは、”なぜ事故直後にこの「アドバイザー」の件が急いで進められたのか”だ」と主張しました。
野池氏が開示請求で入手した文書では、「アドバイザー」の職務の内容は「放射線と健康に関する正しい知識を福島県民に提供する業務」とされていました。
しかし3月19日と言えば、地震からまだ8日しか経っていません。さらに言えば、アドバイザー就任について福島県が3氏に承諾書を書いてもらったのは3月16日だということですから、事故のわずか5日後です。原発がどこまで暴走するのか、全く見通せなかった時期ではないでしょうか。その時点で「放射線と健康に関する正しい知識を福島県民に提供する 」というのは、無理な話ではないか。なんらかの”思惑”(安全言説を振りまいて県民を「避難しない」方向へと導くような?)がなければ、まだアドバイザー事業など始められない時期だったのではないか。
そんな風に思います。
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