原発事故避難者の住まいの問題④親族への圧力

 原発事故が起き、避難指示が出なかった地域からもたくさんの人が、被ばくから身を守るために福島県内外へ逃がれました。区域外避難者(自主避難者)です。福島県はいま、首都圏の国家公務員宿舎などに暮らす避難者に対して、宿舎からの立ち退き圧力を強めています。

 首都圏の国家公務員宿舎に暮らす避難者が裁判を起こされていること、賃料の2倍にあたる「損害金」を請求されていることを書いてきました。

 4回目の今回は、避難者の親族に向けた「立ち退き圧力」について紹介します。


【経緯】

まずは時系列の紹介です。

2011年 3月福島第一原発で事故発生。福島市や郡山市など避難指示区域外からの避難者たち(区域外避難者、自主避難者)に対しても、都営住宅や国家公務員宿舎などが無償提供される。
2011年~原発事故の影響が長期化したため、福島県、区域外避難者たちに対する住宅の無償提供を続ける。
2015年 6月福島県が2016年度末での区域外避難者への住宅無償提供の打ち切りを発表。
2017年
3月末
福島県が自主避難者への住宅無償提供を実際に打ち切る。
2017年
4月
福島県は国家公務員宿舎で暮らす避難者に対して、公務員と同額の賃料支払いを条件に入居継続を許可する「セーフティネット」事業(上限2年)を始める。
2019年
3月末
県による「セーフティネット事業」が終了。
2019年
4月~
セーフティネット事業が終わった後も退去できていない避難者に対して、福島県が賃料の2倍にあたる「損害金」を請求。
2020年
12月ごろ
福島県、宿舎を退去していない避難者の「親族」に対して、「立ち退きへの協力」を求める文書を送る。

 県はセーフティネット事業が終わった2019年4月以降も宿舎を退去できない避難者たちに対して、「賃料の2倍請求」というペナルティを科しています。そしてさらに、今度は未退去の避難者の親族たちの住所を調べ、以下の文書を送ったのです。


親族への文書

 県が親族に送ったのはどんな文書なのか。
 「原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)」が情報開示請求を行ったところ、県が親族に送った手紙の文案が開示されました。一部を紹介します。

御親族と本県との間では、「国家公務員宿舎セーフティネット使用貸付契約」を締結していましたが、契約期間終了後の転居がないまま長期間に渡り未退去状態となっています。本県としては、引き続き住まいの確保に向けた支援を行いますが、貴殿からも速やかに国家公務員宿舎から転居されるよう、特段のお力添えをお願いします。御親族が自主的に転居されない場合は、訴訟など法的手段に移行せざるを得ませんので、御承知願います。

 この文案通りの手紙が送られたかは確認できていませんが、似たような内容ならば、まるで「脅し」のようだと言わざるを得ません。

 避難者たちを支援する「避難者の住宅追い出しを許さない会」の熊本美彌子代表によると、こういった文書が県から届いたために、親族と深刻なトラブルになった避難者もいるそうです。

 親族との関係は、人によって違うと思います。「親族に話されるのは、とても困る」という人もいるはずです。

 たとえば、生活に困っている人が生活保護を申請したくても、役所の人が「親族照会」(申請者を養える親族がいないかの確認)をするのが心配で、苦しくても生保を申請できない人がいることを覚えておかなければなりません。

 このような行為は「裁判」や「2倍請求」などに匹敵する強硬手段であり、すぐにやめるべきだとウネリウネラは考えます。


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    One thought on “原発事故避難者の住まいの問題④親族への圧力

    1. 税金が投入されている公営住宅の管理者なら当然の措置です。
      そもそも「追い出し」と言っているのがおかしいのです。
      入居者が確信犯的に賃料支払わないのですから、その係累に請求する、それでもダメなら退去してもらうのは当たり前です。

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