【原発事故汚染水の海洋放出】みなさんの声⑭:「海洋放出が逆に福島の復興を妨げる」「マッチポンプ的な反対はやめるべき」「薄めようが絶対量は変わらない」「トリチウムだけではない」「水産資源保護法を武器に」

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 東京電力福島第一原発事故で発生している汚染水の海洋放出について、読者の皆さんからいただいたご意見を紹介していきます。ぜひお読みください! ※画像は福島・浪江の請戸漁港


【hypergreenさんのご意見】

汚染処理水海洋放出のことで
 初めてメッセージを送らせていただきます。まず申し上げますが、私は原発の汚染処理水の海洋放出に反対する者です。
 福島第一原発の汚染水処理問題を今年になって始めたツイッターの情報を元に色々勉強させていただきました。それ以前も海洋放出については反対の意見を持っておりましたが、より詳しく知ることができました。ウネリウネラさんのサイトも大変参考になりました。
 海洋放出が汚染処理水の処理費用で一番安いと思っておりましたが、今回の記事で全く違う事を知り驚きました。まさか費用が約10倍に跳ね上がっていたとは。放出賛成派の根拠の一つが崩れました。
 ご存じと思いますが、中国や香港では日本からの海産物の全検査が始まり早速損害がおきております。このまま海洋放出を開始したら更に損害が増えるのは間違いないことです。賛成派の「福島の復興」を進めるはずの海洋放出が逆に福島の復興を妨げるばかりか、日本の漁業関係者全体の問題に広がりつつあります。日本政府と東電は海洋放出を絶対に止めるべきです。
 取り留めない意見で恐縮ですが、私の思いを述べさせていただきました。ウネリウネラさんの今後のご活躍に期待しております。それでは失礼いたしました。

【ウネリウネラから一言】

 hypergreenさんは以下の記事を読んで投稿してくれました。

 海洋放出にかかる費用は当初「34億円」と試算されていましたが、その後”風評対策”などを重ねた結果、1200億円以上に膨れ上がっているという話です。

海洋放出コスト=東電による本体工事(437億円)広報漁業者支援の基金(800億円)+その他の政府予算=1200億円以上

 〈「福島の復興」を進めるはずの海洋放出が逆に福島の復興を妨げる〉というhypergreenさんのご指摘に共感します。福島県会津若松市で行われた市民との意見交換会で、経産省の担当者は「福島の復興のために海洋放出が必要」と発言しました。

経産省:被災12市町村、避難させてしまった12市町村の復興も進めていかないといけないということもあります。なのでですね、我々も、県民のためを思いながら廃炉と復興を進めていきたいと思っております。

7月6日「海洋放出に関する会津地方住民説明・意見交換会」

 県民のためを思うならば、まずは県民との議論をもっと重ねるべきでしょう。

 hypergreenさん、ご意見ありがとうございました! 


 上で紹介した「海洋放出のコスト」の記事については、次のようなご意見もいただきました。

【山本八平さんのご意見】

マッチポンプ的な反対はやめるべき
 そもそも世界中の原発が過去何十年も海洋放出している処理水を、なぜここまでコストを掛けて放出せざるを得なくなったかというと、反原発派の非科学的・非理性的・非合理的な反対活動の所為であって、すべては「政治的」コストに過ぎない訳です。 今回の記事のように、反原発派は政治的コストを天文学的にまで吊り上げておいてそのコスト高を問題視するのですから、マッチポンプ詐欺と言わざるを得ません。断言しますが、一度放出してしまえば「人の噂も七十五日」で誰も気にしなくなります。 当然政治的コストは掛からなくなりますのでこの見込みより放出コストは間違いなく減るでしょう。

【ウネリウネラから一言】

 山本八平さんからは、海洋放出のコストが膨張しているのは反原発派が反対活動をしているからだ、という趣旨のご意見をいただきました。

 しかし、おかしいと思うこと、不安だと思うことに反対するのは当然ではないでしょうか。”風評対策”が必要になっているのは、一部の人が反対しているからではなく、多くの市民(原発の是非について確固たる意見を持たない人も含めた多くの市民)が海洋放出に不安を感じているからだと思います。政府に求められているのは、お金を積んだ”風評対策”よりも、反対している人たちと真摯に話し合うことではないでしょうか。

 また、ウネリウネラとしては「人の噂も七十五日」で海洋放出について誰も気にしなくなる、という状態こそが心配です。自分たち自身も含めて「人は忘れやすい」ので……。IAEAのグロッシ事務局長は「最後の一滴まで」などと言ったようですが、海洋放出が30年ほど続いたとして、その期間中ずっと当事者(政府や東電、IAEA)や市民が十分ウォッチできるのかが心配です。

 ウネリウネラとして賛同はできませんが、私たちの書いている記事に異論を寄せてくださったことにはとても感謝しています。意見が異なる人とこうして話し合うことで議論が深まるというのは、政府レベルだけの話ではなくて、サイト「ウネリウネラ」でも同じだと思っています。

 山本八平さん、ご意見ありがとうございました!


【吉岡一栄さんのご意見】

汚染水を海洋放出することに関して
 東電と政府は汚染水を100倍の海水で薄めて放出しようとしていますが、放出前に薄めようが放出後に薄まろうが、汚染水の絶対量は変わらない。薄めて体積を増やすのではなく、できる限り体積を小さくする工夫後にコンクリート詰めする方法が、大気中や海洋水の汚染を防ぐことができると思う。

【ウネリウネラから一言】

 吉岡一栄さんからは「薄めても汚染水の絶対量は変わらない」とのご指摘をいただきました。筆者もここがポイントだと思います。

 以前取材したデモ行進では、〈なんぼ薄めても汚染水にかわりはない〉というプラカードを掲げている人もいました。この点を”みそ汁”にたとえて話してくれる人もいました。

 私は汚染水についてこう考えます。ALPSを通したからと言って、汚染水は汚染水。それを水で希釈したからと言って、やっぱり汚染水は汚染水だと思うんです。たとえばみそ汁にたとえます。高血圧の人は医者から『塩分を控えてね』と言われたとしても、お湯をそそいで薄めても、結局みそ汁を全部飲んだら塩分は変わりませんよね。私、そういうことだと思うんです。それはおかしいんでねえかい?と、そう思います。

2022年5月25日「これ以上海を汚すな!市民会議」と福島県との交渉での市民発言

 吉岡一栄さん、ご意見ありがとうございました!


 吉岡さんのご指摘に関連して、「トリチウム以外の放射性物質」についてもご意見をいただきました。

【みかんさんのご意見】

汚染水放出反対

 メルトダウンした原発から出る汚染水にはトリチウムだけでなく様々な放射性物質が入っていると思われます。それなのに、どんな物質が含まれてもわからないままで海に放出するなんて、絶対ダメです!

【ウネリウネラから一言】

 多核種除去設備(ALPS)で処理すると言っても、トリチウム以外の放射性物質がゼロになるわけではありません。炭素14ヨウ素129セシウム137ストロンチウム90も残ります。

 そして海洋放出が約30年続く中で、それぞれの放射性物質が合計でどのくらい流されるのか、総量が分からないのですから、不安に思うのは自然なことだと思います。

 みかんさん、ご意見ありがとうございました!


【八鍬収治さんのご意見】

小林さんの提言に関して

 水産資源保護法第四条は有効な武器になります。漁業者は漁業権があるだけで、海域を所有しているわけではないのは、言われてみれば、そのとおりですね。色々、出て来るものです。
 汚染水放水で、希釈するというが、適正に希釈されないものが、放水された場合、どう責任を取るのか? 今までの東電の仕事っぷりをみていると、適正にされない場合が多々あるので、懸念材料である。

【ウネリウネラから一言】

 八鍬収治さんは7月27日に紹介した小林茂さんの論考に対して意見を寄せてくれました。

 文章中にある水産資源保護法にはこう書いてありました。

水産資源保護法第四条

農林水産大臣又は都道府県知事は、水産資源の保護培養のために必要があると認めるときは、次に掲げる事項に関して、農林水産省令又は規則を定めることができる。

一)水産動植物に有害な物の遺棄又は漏その他水産動植物に有害な水質の汚濁に関する制限又は禁止

e-Gov法令検索

 この条文によると、農林水産大臣だけでなく都道府県知事にも、海洋汚染に対してストップをかける権限があるようです。小林茂さんは論考の中で、「福島県知事は取り締まれ、と漁業者が訴えれば大きな社会問題となると思う」という鈴木譲・東大名誉教授の指摘を紹介していました。そういう方法もあるのだなと筆者は初めて知りました。

 八鍬収治さん、小林茂さん、ありがとうございました!


皆さまのご意見を募集します

海洋放出問題について、皆さまのご意見を募集します。長いものも短いものも、海洋放出を支持する声も反対する声もすべて歓迎です。お待ちしております。

※いただいたご意見に対しては、ウネリウネラから掲載の可否を聞くメールを送っています。メールで直接意思確認できた人のみ、サイトへの掲載・編集作業をしています。もし「投稿したのにメールが来ない」という方がいましたら、恐れ入りますが、uneriunera@gmail.comにご一報ください。

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