ゼロを求めてはいけないの?【海洋放出CMについてのご意見ご感想/もっと幅広く「みんなで知ろう。考えよう。原発汚染水のこと。」④】

報道

経産省の海洋放出テレビCMについて、ペンネーム「抗子」さんからメッセージをいただきましたので、紹介します。また、抗子さんのご指摘から考え、感じたことをウネリウネラで雑談してみました。どうぞお読みください。

テレビCMの内容についてはこちら↓


【「抗子」さんからのご意見・ご感想】

「海洋放出に反対します」

放射性物質はなくなったのでしょうか?

本日朝の9時ころワイドショーの合間にテレビコマーシャルが入りました。アルプス処理水は問題ない、こんなに減る、というグラフで説明していました。

私は専門的数値はよくわかりません。放射性物質ゼロを望んではいけないのか?皆にCMで刷り込まれることに脅威を感じます。

世界的問題です。


【ウネリウネラによる雑談】

ウネリ:本当にテレビで流しているんだな。あんまり見ないから実際にはまだ遭遇してない。

ウネラ:私もこないだ民放を見ていたら急に流れてきて、ビクっとしたよ。

ウネリ:「抗子」さんのご投稿を読んでどう感じましたか?

ウネラ:まったく同感です。原発の問題について、自分なりに勉強するよう努めてはいるけど、きちんと理解するのは大変だと感じています。「専門的数値」となればなおさらです。

ウネリ:原発とか放射能のことは難しいよね。

ウネラ:ただ、「科学的な根拠に基づいており、100%安全です」と言われると、それだけで「警戒せねば」と思うところはあります。基本的に何かを「絶対視する」ことには抵抗があります。世の中を見回してみて、「これが正しい、そっちは間違っている」と言い切れることって、そうそうないと思うんです。「人を傷つけてはいけない」とか、そういうレベルでないと、「絶対に」と言ってしまうことって、危険な気がするんです。

ウネリ:そうやって自分を戒めていても傷つけてしまうこともあるしね。

ウネラ:はい。

ウネリ:政府が「正しい」と言っている理屈だって、本当なのかは疑わしいですよ。


「海洋放出は安全」は正しいのか?

ウネリ:抗子さんが見たのは昨日このサイトで紹介したCMだと思います。昨日も書きましたが、具体的な「情報」は2コマだけです。

※テレビCMと同じ内容を閲覧できる経産省ウェブサイトから引用。
※同上

ウネリ:この2つの情報を提示し、政府のCMは「国際的に受け入れられている考え方のもと、安全基準を十分に満たした上で海洋放出する方針です」と言います。しかし、日本政府や国際機関(WHOやIAEAなど)や電力会社の言っていることが「ほぼ100%正しい」と言えるのか、という話です。べつに彼らが嘘つきだとか言いたいわけではない。ただ原発や放射能の問題について、現在地球に生きている人が「ほぼ100%正しい」と言い切れることってほとんどないんじゃないのか、ということです。

ウネラ:だって、日本政府は「原発事故は絶対起こりません」という考えだったわけでしょう。

ウネリ:そうそう。そういう物言いができないことは11年前に証明されているよね。


「ゼロを求めてはいけないの?」

ウネリ:抗子さんのご投稿の中で、「放射性物質ゼロを望んではいけないのか?」という言葉が心に残りました。

ウネラ:そうですね。

ウネリ:ALPS(多核種除去設備)という機械ではトリチウムや炭素14などが取り除けないことは分かっています。それらは、どんなに海水で薄めても、放出に時間をかけても、海に流す「総量」は変わらないからね。いくら安全だと言われても、好き好んでそれらを摂取したい人はいないよね。

ウネラ:うんうん。

ウネリ:抗子さんや私たちには「ゼロを求める権利」はあるんじゃないかと思います。そして、原発を建ててしまっていた日本国民にその権利があるなら、先日紹介したマーシャル諸島など太平洋の島々で生きる人たちには、もっと「ゼロを求める権利」がありますよね。日本の原発の恩恵を全く受けていないのだから。「海洋放出」という選択肢は彼らの視点から言えば、最も影響大ですよね。


他の選択肢はないのか?

ウネリ:トリチウムを含む水をどう処分するか。政府が本格的に考えはじめたのは2013年からです。それ以降の政府の会議では、「地層注入」「海洋放出」「水蒸気放出」「水素放出」「地下埋設」の5つの案がありました。このほか「大型タンク」による長期保管も一案ですよね。最終的に実現性やお金の面で「海洋放出が現実的」という結論になったのだけど、それは経済産業省がそういう方向に議論を誘導しただけだと私は考えています。タンクでの保管や地下埋設だったら、抗子さんが言う「放射性物質ゼロ」には近づくと思うけどな。

ウネラ:「みんなで知ろう。考えよう。」と言うなら、そこに戻って考えなきゃいけませんよね。


先日の「日曜討論」を見て

ウネラ:話が変わるけど、先日、NHK「日曜討論」を2人で見ましたね。

ウネリ:政府の原発政策がテーマのね。西村康稔氏(経済産業相)と、松久保肇氏(原子力資料情報室・事務局長)、橘川武郎氏(大学教授、エネルギー産業論)、竹内純子氏(国際環境経済研究所・理事)が出ていた。
(※番組放送は12月18日。政府の基本方針は、①これまで「原則40年、最長60年」だった原発運転のルールを破り、60年を超えて運転できるようにする、②次世代原発の開発を進める、などが内容。12月22日に正式決定されてしまった。)

ウネラ:あの番組で西村氏はこう言っていたよね。

「昨年末から30数回、1年にわたって議論をしてきています。この総合資源エネルギー調査会はすべて古オープンにして、インターネットで中継しながら、賛成・反対の様々なご意見をうかがってきました。特に、慎重な方々のご意見をうかがう会も2回設けて、ヒアリングを行っております。かなり回数を重ねて議論しました」

「慎重な方々」って、つまり反対している人たちのことだと思うんですが、「えっ、30回以上やって(反対する人を交えた回は)たった2回だけ?」って思ってしまいました。

ウネリ:ずいぶん誇らしげに語っていたけどね。

ウネラ:しかも、そうやって反対派、慎重派の人と議論したのだったら、その内容をみんなに知らせましょうよと思った。

ウネリ:そういう時にこそきっちり広報すべきだよね。「みんなで知ろう。考えよう。」とテレビCMを流せばいい。これから議論します、という時にはCMはやらないんだよな。関係ないけど、西村氏は同じことを言いすぎだよね。1時間の番組なのに、「エネルギーを安定的に供給し、電力需給のひっ迫に備えるために」という回答を何回も使った。その一方でたとえば松久保氏との会話のキャッチボールがない。これじゃあ番組やる意味がない。政見放送になってしまっています。

ウネラ:「繰り返しになりますが、エネルギーを安定的に供給し…」という言い方だよね。司会役の人は、「それ以外に説明方法はないんですか?」とか言った方がいいよね。


福島の人と話していると……

ウネラ:福島の人たちと話していると、最近のCMや60年超運転の話には腹を立てている人が多いという印象があります。ある人は「事故の怒りが薄らいだり、むしろ積極的に忘れようという人も多かったけれど、今回の件ではみんな怒っている」と話してくれました。ふだんは必ずしも「反原発」ではない人が、「次世代原発を作ったり、運転期間をのばすなら、そう決めた政治家はどうかその原発がある町に住んでください」と言っていました。


皆さまのご意見を募集します

抗子さん、ご投稿誠にありがとうございました。

海洋放出問題について、皆さまのご意見を募集します。長いものも短いものも、海洋放出を支持する意見も反対する意見も、なんでも大丈夫です。お待ちしております。

    コメント

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