【東電刑事裁判】審理尽くし公正な判決を! 連日のスタンディング

 原発事故を起こした東電旧経営陣の刑事責任を追及する「東電刑事裁判」が大詰めを迎えている。東京高裁で開かれている控訴審は、今月6日の3回目公判で結審する見通しだ。

 しかし、審理を終わらせるのは早すぎないだろうか。今月17日にはいわゆる「生業訴訟」など、原発事故を起こした国の責任をめぐる訴訟の最高裁判決が言い渡される。東京地裁で弁論を重ねてきた「東電株主代表訴訟」の地裁判決も7月13日に出る。これらの判決結果を待ち、そのうえで審理を尽くすよう、市民は訴えている。

 6月3日金曜日まで連日、東京高裁の前で「スタンディング」を行っている。

 (ウネリウネラ・牧内昇平)


ランチタイムスタンディング

 5月31日正午、東京都千代田区の東京地裁・高裁前。原発事故後、神奈川県川崎市への母子避難を経験した松本徳子さん(福島県郡山市)がプラカードをかかげた。

〈東電刑事裁判  東京高裁は拙速な結審をしないで!〉

 東京電力は誰も責任を取っていません。今もなお、故郷に帰れず苦しんでいる人がたくさんいます。しかも来年には、福島第一原発で出た汚染水を、「処理水」などと言ってだまして、海に流そうとしています。裁判長、きちっと審理を尽くして、正しい判断を出してください!

松本さん

 「福島原発刑事訴訟支援団」の人びとがスタンディングを始めたのは5月23日。正午から午後1時までの1時間限定で、連日裁判所前に集まり、「審理を尽くして!」と声を上げてきた。6月3日(金)まで続けるという。福島県からも毎日交代で参加している。この日は、白河市から菅野行雄さんも街頭に立った。

 事故の責任については今、最高裁が民事訴訟で統一見解をまとめています。最高裁が国と東電の責任をどう判断するか、目の前でその判断が下されようとしている矢先に、刑事裁判が結審してしまうというのはおかしい。最高裁の判断を尊重すべきです。一人の福島県民として、強く訴えます!

菅野さん

控訴審は審理を尽くしたか?

 原発事故を起こした東電の責任を問う民事訴訟は数多いが、経営陣の刑事責任を問う裁判はこれが唯一だ。事案の重大性から考えれば、審理を十分に重ねる必要があることは言うまでもない。一審の東京地裁は判決前に37回の公判を重ねた。控訴審は3回だけの公判で、審理を尽くしたと言えるだろうか?

 少なくとも、関連する2つの裁判の結果を待つべきだという福島原発刑事訴訟支援団の指摘はもっともだ。

国の責任を問う集団訴訟の行方

 「生業訴訟」をはじめとした原発事故集団訴訟は6月17日、「原発事故を起こした国の責任」について最高裁の判断が示される。最高裁での大きな争点の一つが、国の「地震本部」が2002年に示した「長期評価」の信頼性だ。長期評価は、福島県沖を含む太平洋沿岸での大地震の可能性を指摘していた。これの信頼性を認めるならば、「原発事故の可能性は予見できた」ということになる

 最高裁がこの点についてどう判断するかは、刑事裁判でも重要な判断材料ではないだろうか。

東電株主代表訴訟

 もう一つ注目されているのが、7月13日判決の東電株主代表訴訟だ。この訴訟はこれまでに62回の口頭弁論が開かれてきた。東京地裁の裁判官は原発の現地検証も行い、証人尋問も数多く行ってきた。

 提訴から10年以上かかってようやく判決を言い渡す。時間をかけた判決の結果は、刑事裁判にも生かすべき点がある。そう考えるのが、自然ではないだろうか?

 ランチタイムスタンディングの終盤、刑事裁判の被害者参加代理人を務める海渡雄一弁護士が裁判所に呼びかけた。

 前回の公判では残念ながら、代理人が強く求めていた証人尋問や現場検証が採用されませんでした。我々はこれに異議を唱え、結審を7月下旬以降に延ばすよう求めています。最高裁と東電株主代表訴訟の判決を証拠として盛り込み、それに基づいて判断してほしい。当然認められるべき要求だと考えています。裁判長は、これまでこの訴訟を支援してきた皆さんの切なる声に応えてほしいと思います。

海渡弁護士

東電刑事裁判とは?

 被告人は、東電の勝俣恒久会長、武藤栄副社長、武黒一郎フェローの3人。

 問われているのは「業務上過失致死傷罪」。3人は津波対策を怠って原発事故を引き起こし、無理な避難を余儀なくされた双葉病院の入院患者ら40人超を死傷させたとして「起訴」されている。

 裁判のきっかけは2012年、福島の市民たちが行った刑事告訴だった。告訴を受けた東京地検は3人を含む東電役員ら全員を「不起訴処分」とした。しかし、市民たちは検察審査会に審査を申し立てた。検察審査会が2度にわたって「起訴すべき」と議決したため、勝俣氏ら旧経営陣3人は強制起訴された。

 一審(東京地裁)は2017年の初公判から合計37回の公判を重ね、2019年9月、3人全員に無罪判決を言い渡した。検察官役の指定弁護士は控訴した。控訴審は昨年11月にスタートしたばかりだが、東京高裁は、現地検証や証人尋問の要求を退け、3回目の公判で結審する方針が示されている。

(ウネリウネラ・牧内昇平)

 

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