【汚染水海洋放出】福島県民が方針の見直しを求めるパレード

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 東京電力福島第一原発にたまる汚染水(日本政府は「ALPS処理水」と呼ぶ)の海洋放出方針の見直しを求める市民たちが、福島市内で4月22日、集会とパレードを行いました。約220人の市民が福島市内の街なかを歩き、「福島の海へ、数十年も放出し続けていいの?」と呼びかけました。(写真・文/ウネリウネラ牧内昇平)


県民や漁業関係者の信頼構築と次世代の子どもたちに安心して暮らせる社会を手渡すため、「ALPS処理水海洋放出」の見直しを求めます。

 22日午後2時、福島県庁前。集会実行委員会の山田妙子さんが「政府と東京電力によるアルプス処理水海洋放出の見直しを求める4.22県民集会宣言」の文案を読み上げると、集まった約220人の市民たちから拍手が起こりました。この拍手によって「海洋放出見直し宣言」を採択したこととし、参加者たちはパレードをはじめました。

 「海洋放出見直し宣言」の中で、筆者が的を射た指摘だと感じる部分を紹介します。

政府と東電が今すべきことは、原子炉建屋への地下水流入を止め、大量の地下水と溶け落ちた核燃料デブリとの接触を断ち、これ以上汚染水を増やさないことです。

海洋放出の見直しを求める4.22県民集会宣言

 原子炉建屋に地下水が流れ込むかぎり、「汚染水」は増えてしまいます。たとえ海洋放出を始めたとしても、地下水の流入が続けば、原発敷地内のタンクの数はそれほど減りません。「廃炉作業のためにはタンクをなくす必要がある」というのが、そもそも日本政府が海洋放出を行う理由でした。地下水を止めなければ海洋放出してもほとんど意味がないのです。

 一部の専門家は、建屋周辺の地中深くにセメントを流し込み、水を通しにくい壁をつくる「広域遮水壁」の設置などを提案しています。こうした対策を真剣に検討する必要があると筆者も思います。

【4月24日追記】
この部分について、記事を読んだ春橋哲史さんから以下のご指摘をいただきました。
「広域遮水壁については、第26回・汚染水処理対策委員会で東電が(止水策として)採用しないことを説明し、経産省も了承しています。東電の結論に同意するかどうかは意見が分かれると思いますが、検討した結果、採用しないことが決められているのですから、その旨を記事に取り上げないのは、事実を公平に伝えているとは言い難いです。少なくとも、第26回・汚染水処理対策委員会の件は補足した方が良いでしょう。 」
「広域遮水壁と集水井(井戸を掘って地下水をくみ上げる)」は、福島大学の柴崎直明教授らが提案している地下水対策です。確かに、政府の委員会では昨年12月、東京電力の参加者がこれらの検討結果を伝えています。東電の意見は「集水井からくみ上げる水の量が非常に膨大になってくるため、有効ではない」とのことでした。
 広域遮水壁の是非や止水対策の現状については、ウネリウネラでも勉強して別途まとめたいと思います。春橋さん、ご指摘ありがとうございました!

東電が海洋放出の正当化の根拠としている安全性についても、不確定要素をふくむ長期的影響まで科学が安全を保障できるものではなく国民や漁業者の懸念を払拭できるものではありません。

同上(下線は筆者)

 とても重要な点だと思います。日本政府と東電は海洋放出PRを通じて「リスクはゼロだ」という印象を植え付けようとしていますが、ことは放射性物質なだけに、そう言い切るのは難しいのではないでしょうか。ALPSで除去できない炭素14という放射性物質は半減期が5700年です。長いスパンでものを見た場合、簡単に踏み切れることではないように思います。

東電が昨年12月23日に示した「賠償の基準」の内容は漁業者に煩雑な手続きを強いるだけでなく、海洋放出前後の価格差や売上減少分については、事故当事者である東電が「風評の影響あり」と判断した場合にのみ行われるもので、しかも海洋放出後の新規参入漁業者は原則排除されているものです。

同上(下線は筆者)

 これでは納得いかないと思います。

 これからも海洋放出をめぐる動きを継続的に伝えていきます。

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 海洋放出問題について、皆さまのご意見を募集します。長いものも短いものも、海洋放出を支持する意見も反対する意見も、なんでも歓迎です。お待ちしております。

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