【汚染水海洋放出】世界各地の市民たちの行動

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 東京電力福島第一原発にたまる汚染水(政府・東電は「ALPS処理水」と呼ぶ)の海洋放出に反対する市民たちは、4月13日前後に一斉のアピール行動をおこないました。その動きは日本国内だけでなく、世界各地に広がりました。

 先日の記事では筆者が直接取材した福島県いわき市内のスタンディング(街頭アピール)を紹介しました。今回は参加した方々の協力を得て、世界各地での動きの一部を写真を中心に紹介します。(ウネリウネラ・牧内昇平)


フランス

 まずは原発大国フランスでのアピール行動です。

提供:よそものネット・フランス

 パリ市内の運河にかかった鉄橋の上でアピール行動をしていたら、ちょうど遊覧船が通って多くの人の目にとまった。そういう様子をとらえた写真だそうです。現地の脱原発ネットワーク、よそものネット・フランスの辻俊子さんはSNSにこう投稿していました。

若葉の緑が目に鮮やかな季節が始まり、暖かな日差しに人々がくつろぐ週末の午後、私達はサン・マルタン運河に架かる橋の一つに陣取りました。この運河はセーヌ河へと続き、セーヌ河はノルマンディー地方で大西洋に注ぎます。海は皆の宝物、これ以上汚してはいけません!

辻俊子さんのSNS投稿より

 マクロン大統領は昨年、新しい原発を最大14基、少なくとも6基、新設すると発表しました。原発推進、原発への回帰は現在の日本政府と同じ路線なのかもしれません。心配な状況です。

米国

 ニューヨークでもアクションがありました。

提供:Manhattan Project for a Nuclear-Free World (核の無い世界のためのマンハッタン・プロジェクト)

 後ろに見えるのは「知の殿堂」と言われるニューヨーク公共図書館です。

 ニューヨーク近郊にはインディアンポイント原発があります。そこからハドソン川への廃水が現地では問題になっているようです。参加者の中には日本語で〈原子力?おことわり〉と書いた旗をかかげる人もいたようです。

フィジー

 海洋放出について太平洋の国々がとても心配していることはこれまでも書いてきました。フィジーで行われた反対行動についても写真で紹介します。

提供:Pacific Conference of Churches

 ”NO WASTE DUMPING”  ”I’m on the Ocean’s side”
 フィジーに行ったことのない筆者ですが、写真からだけでも「海と密接な暮らしをしているんだろうな」ということが伝わってきます。海洋放出の問題は生活と切り離すことのできない、切実な問題なのではないでしょうか。

ベトナム

 ベトナムで日本語を教えている山内尚子さんによるアクションです。ご本人から写真を提供してもらいました。

提供:山内尚子さん

 日本語を学ぶ若者たちも問題を共有しているようです。山内さんとは昨年、福島市内で開催された海洋放出反対アピールでも会いました。日本とアジアで行動されています。

ニュージーランド

 南島の都市ダニーデンでのアクションです。

提供:ジャック・ブラジルさん

 この街にあるオタゴ大学は、ニュージーランドで最も古い大学だそうです。オタゴ大の留学生、安積宇宙さんを経由して写真を提供してもらいました。

 横断幕に書いてある《Tiakina te mana o te Moana-nui-a-Kiwa》とは、マオリ語で《太平洋の尊厳を守ろう》という意味だと、安積さんは教えてくれました。


 日本政府が海洋放出の方針を決めたのは2021年4月13日でした。それからちょうど2年になることを節目として、今回の「4.13グローバルアクション」は開催されました。SNS上で確認するかぎり、たくさんの市民たちがアクションを起こしたようです。一部を紹介します。

いわき、福島、郡山、会津若松、茨城、京都、大阪、兵庫、新潟、東京、愛知、佐賀、青森、神奈川、静岡、埼玉、福岡、沖縄、ソロモン諸島、マーシャル諸島、カナダ、韓国、フィリピン……。

 このグローバルアクションの立役者は、福島県内を中心に活動する市民グループ「これ以上海を汚すな!市民会議」(「これ海」)の人たちです。市民たちの反対の声を可視化する試みで、筆者はとても印象深く感じました。

 「これ海」が海洋放出に反対する主な理由は以下の5点です。

①ALPS処理汚染水に含まれるトリチウムは体内に取り込まれると危険である
②汚染水に含まれる放射性物質はトリチウムだけではない。炭素14も除去されない
③炭素14の影響を伏せるなど、政府や東電は市民に十分な説明をしていない
④漁業者や福島県内の市町村議会、全国の市民から反対の声が上がっている
⑤タンクを大型のものに換えるなどすれば今すぐ海洋放出する必要はない

「これ海」発行のリーフレットの内容を筆者なりに要約

 日本政府は海洋放出について情報発信に力を入れています。無関心層に知ってもらうという意味では同意できますが、結局は「これが正しい道です」と宣伝しているだけなのが気になります。世界各地の反対の声をきちんと受け止め、「(たとえ少数派だとしても)海洋放出に反対している人たちがいる」ことも日本の無関心層の人たちに広く伝えてこそ、十分な議論ができるのだと思います。

皆さまのご意見を募集します

海洋放出問題について、皆さまのご意見を募集します。長いものも短いものも、海洋放出を支持する意見も反対する意見も、なんでも歓迎です。お待ちしております。

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