牧内昇平『過労死 その仕事、命より大切ですか』(2019年/ポプラ社)
ぼくの夢
大きくなったら
ぼくは博士になりたい
そしてドラえもんに出てくるような
タイムマシーンをつくる
ぼくは
タイムマシーンにのって
お父さんの死んでしまう
前の日に行く
そして
「仕事に行ったらあかん」
ていうんや
これは、お父さんが「過労自死」してしまった6歳の男の子、マー君の言葉です。
マー君のお父さんが亡くなって20年近く経ちますが、今もなお、過労死遺族の思いを象徴する詩として、大切に読み継がれています。
本書は、そんな遺族たちの「今」を7年間にわたり追ったノンフィクションです。朝日新聞で掲載された過労死特集「追いつめられて」をもとに追加取材を重ねて一冊にまとめました。長時間労働だけでなく、パワハラ、サービス残業、営業ノルマの重圧など、働く人を「過労死」へと追いつめる多くの問題に触れています。
過労死を「自分ごと」として考え、日々の働き方、暮らし方をみつめ直してもらう。それが本書のねらいです。
第1章:幼子を残して逝った市役所職員
第2章:ステーキ店社員を苦しめた上司の暴力
第3章:若き公共放送女性記者の過労死
第4章:熱血先生が倒れた
第5章:スーパー店員、サービス残業の末の過労死
第6章:新入社員24歳の「過労事故死」
第7章:夜勤漬けのビデオ店社員、退職半年後の過労死
第8章:心の病にたおれた「まちの郵便屋さん」
第9章:リフォーム営業の男性を追いつめた「残業代ゼロ」
第10章:支え合う遺族たち
第11章:県庁マンの心をむしばんだ上司の叱責
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