ダマリー国連特別報告者はなぜ訪日できないのか?

 国連加盟国の人権問題をチェックする「国連特別報告者」が、原発事故の関連で訪日調査を求めています。4年前の2018年から要求していますが、実現していません。なぜでしょうか?

 最新の国会質疑を見てみると、日本政府は「新型コロナ」を理由に受け入れを先延ばしにしているようです。しかし、「待ってくれ」と言いたくなります。コロナ禍の昨夏、日本は「世界的スポーツイベント」を開いたのでは? 

 国会の模様を紹介します。(画像はウェブサイト「衆議院インターネット審議中継」から。山崎誠議員)

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     ダマリーさんは来日できるのか?


4月13日、経済産業委員会

 訪日調査を求めている「国連特別報告者」はセシリア・ヒメネス・ダマリー氏です。人権にかかわる数あるテーマのうち、「国内避難民の人権」を担当しています。原発事故の避難者問題を調べるため、2018年8月、訪日調査を要求しました。日本政府が実現させないため、20年1月と21年6月に再度の要求(リマインダー)を出しました。ところがまだ、ダマリー氏は来日できていません。

 この件について、立憲民主党の山崎誠議員が衆議院経済産業委員会で質問しました。答弁は小田原潔・外務副大臣です。

山崎 いまだに(ダマリー氏の)受け入れが実現できていない。どうしてここまで先延ばしになっているのですか?

小田原 ダマリー国連特別報告者の訪日要請の受け入れでありますが、外務省が窓口となって先方と意見交換を行っております。現在、復興庁を含む各府省庁で、それぞれの所掌に応じて、新型コロナウイルス感染状況も見つつ、受け入れ時期等を検討しています。

山崎 コロナを理由に受け容れを延ばしているという説明を、私どもは何度も聞きました。いま、蔓延防止等重点措置も解除されています。いまチャンスじゃないですか? また、「ハンセン病患者への差別撤廃」というテーマについては、コロナ禍であっても報告者を受け入れてますよね? なんでこのテーマについては受け入れを先延ばしするんですか? 特別な理由があるんじゃないですか?

小田原 特別報告者本人とも意思疎通を行いながら、関係府省庁において検討されていると承知しております。特別報告者からは地方視察の要望もあります。避難されている方々の中には、高齢者や基礎疾患を抱えている方もいらっしゃいます。したがいまして、国内外の新型コロナウイルス感染症の流行状況を見つつ、検討していく必要があると理解しています。

山崎 いま、感染おさまってきたんじゃないんですか? ちゃんとPCR検査を実施して、安全を確保して、やったらいいじゃないですか? 被災者が「怖いから来ないでくれ」と言ってるんですか? そういう方がたくさんいるんですか? 「会ってほしい」「自分たちの状況を知ってほしい」という方が多いんじゃないですか? 副大臣、先延ばしはいい加減にしてください。いつ結論を出して受け入れるのか、明確に回答してください。

小田原 被災地を含む国内外の新型コロナウイルス感染症の流行等をやはり、慎重に見つつ、特別報告者本人とも意思疎通を行いながら、関係府省庁において検討を行っています。現時点で「いつ」ということをお答えするのは困難でありますが、訪日が行われる場合には、新型コロナウイルス感染症の流行状況を留意しながら、双方の都合のよい時期に実施するよう、窓口である外務省としても協力したいと思います。

山崎 国際的な信用の問題ですよ。2011年には、特別報告者を常時受け入れますと宣言しているんです。国連で日本は。だから聞いているんですよ。要するに原発事故、不都合なことがあるんじゃないですか? 政府としてはしっかりとした対応をとってください。


「コロナだから」は理由になるのか?

 なぜ訪日調査が実現しないのか。外務副大臣が言うのは「新型コロナ」のことばかりです。

 去年の夏、東京オリンピックがありましたよね。海外の人がたくさん来日しました。バッハさんは銀座をぶらぶら歩きしたそうです。2020年2月にはハンセン病差別問題についての国連特別報告者が来日し、外務大臣政務官と会っています。そんな中でなぜダマリー氏だけは来られないのか、というのが率直な感想です。

 国会質疑にもある通り、日本政府は「国連から調査などの要求があった場合、すべて受け入れる」と表明しています。今回の「訪日調査先延ばし」はそのことにも矛盾しています。

 要するに、日本政府の対応は不誠実です。こういう不誠実さを看過することは出来ません。

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