経産省の海洋放出テレビCMについて、京都府に住む浦島清一さんからご投稿をいただきました。浦島さんの投稿をきっかけにして、CMの内容というよりも「事業そのもの」について、考えてみたいと思いました。
テレビCMの内容についてはこちら↓
【浦島清一さんからのご意見・ご感想】
あのCMの流されている時間帯は？
夫婦でこのCMについて気にかかっていました。
さらにあのCMは番組と番組の間に入り込んでいます。番組の正式なCMではなくて間隙をぬって、さりげなく何回も何回も流されていく中で頭に入っていくそのやり方。内容にも問題がありますが、その放映のしかたにも大いに問題があり、怒りが高まります。
【ウネリウネラから】
浦島清一さん、ご投稿ありがとうございました。「内容にも問題がありますが、その放映のしかたにも大いに問題がある」というご指摘を受けとめ、このCM事業について現時点で分かっていることを書きたいと思います。
CMを制作・放送しているのは電通
経済産業省の海洋放出テレビCM事業は、「ALPS処理水に係る国民理解醸成活動等事業」という名前です。経産省は「海洋放出に伴う需要対策」という名目で新しい基金をつくりました。2021年度補正予算で300億円を新基金に投じています。この基金の事業の一つに、「国民理解醸成活動事業」があります。
今年7月、基金はこの事業を行う業者を公募しました。公募要領にはこう書いてありました。
・海洋放出方針に対しては、風評影響を懸念する声があることから、ALPS処理水やその海洋放出の安全性に関する国内に対する情報発信を含む、風評対策を徹底して行うことが極めて重要である。本事業は、地域・年齢等に関わらず、国内の幅広い方々に対し、ALPS処理水に関する科学的根拠に基づく情報を発信するほか、福島県及びその近隣県の産品の魅力・安全性を周知する取組を実施するものである。
・委託額の上限は１，２００，０００，０００円（消費税込み）とする
そして8月、落札業者が決まりました。広告代理店最大手、電通でした。
ちなみに、ちょっと桁が大きいのでもう一度書いておくと、委託額の上限は「12億円」です。
幅広い国民への「プッシュ型情報発信」
主な事業内容は以下です。基金が公開している公募要領に書いてありました。
（１）国内の幅広い人々に対するプッシュ型の情報発信
（２）情報発信のツールとして使用するコンテンツの作成
（３）ALPS処理水の処分に伴う不安や懸念の払しょくに資するイベントの開催および参加
テレビスポットCM、新聞広告、デジタル広告などを通じて「プッシュ型の情報発信」をするところが特徴でしょう。発信方法には具体的な指示がありました。
・テレビスポットCM：全国の地上系放送局において、各エリアで2500GRP以上を取得すること。放送時間帯は全日6：00～25：00とすること。必ずゾーン内にOAすること。放送素材は15秒または30秒を想定。
・新聞記事下広告：全国紙5紙ならびに各都道府県における有力地方紙・ブロック紙の朝刊への広告掲載（5段以上・モノクロ想定）を1回実施すること。
・デジタル広告：国内最大規模のポータルサイトであるYahoo！Japanを活用し、同社が保有しているデータ、およびアンケート機能を活用したカスタムプランを作成し、トップ面に9500万vimp以上の配信を行うこと。国内最大規模の動画サイトであるYouTubeを活用し、「YouTube Select Core スキッパブル動画広告（ターゲティングなし）」に1250万imp以上の配信を行うこと。
CM放送の流し方
浦島さんは「CMの流し方」に疑問を呈してくれました。
この公募要領を読んで、「番組の正式なCMではなくて間隙をぬって、さりげなく何回も何回も流されていく」という浦島さんのご指摘の意味がやっと分かりました。
テレビCMには「タイムCM」と「スポットCM」があるようです。個別の番組を指定して放送枠を買うのが「タイムCM」。番組を指定せず、さまざまな時間帯に放送するのが「スポットCM」。公募要領には「スポットCM」とありましたから、後者なんですね。「さりげなく何回も何回も」と浦島さんが書く意味が分かりました。
また、「GRP」というのはCMの「視聴率」に当たるもののようです。公募要領には「各エリアで2500GRP以上を取得すること」と書いてありました。細かいことは分かりませんが、「いっぱいCMを流してたくさんの人に見てもらう」ということなのだと思います。
皆さまのご意見を募集します
浦島清一さん、ご投稿誠にありがとうございました。
海洋放出問題について、皆さまのご意見を募集します。CMに電通が関わっていることに対しても、いろんな意見があると思います。長いものも短いものも、海洋放出を支持する意見も反対する意見も、なんでも大丈夫です。お待ちしております。
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