【原発事故、賠償基準の見直しを!】集団訴訟原告たちが福島県庁に申し入れ

 原発事故の賠償が実態に合っていない。基準の見直しを求める――。全国の集団訴訟の原告たちが国や県にそう訴えています。本サイトで紹介してきた「生業訴訟」もその動きの中心にいます。きょう3月28日、訴訟の原告たちが福島県に正式な申し入れを行いました。

1.福島県は、原子力損害賠償紛争審査会に対して、最高裁決定を受けて、賠償指針を直ちに見直すよう要請すること

2.福島県は、原子力損害賠償紛争審査会に対して、賠償指針を見直すに際しては、原発事故被害者に対する聞き取りなど被害実態の把握に従前以上に努めるとともに、原発事故被害者を指針策定に関与させるよう要請すること

原告団・弁護団による要請書

 賠償基準の見直し。これは3・11当時福島県とその周辺に住んでいた全ての人を巻き込む大きな問題です。でも、なにぶん複雑な話でもあります。ウネリウネラ流のQ&A形式で書いてみたいと思います。


Q1 原発事故の賠償の仕組みは誰が決めている?

A1 「原賠審(ゲンバイシン)」という国の組織が基準を決めています。この基準に則って東電が賠償を行うことになっています。原賠審の正式名称は「原子力損害賠償紛争審査会」です。

Q2 その基準によると賠償額はどのくらいなの?

A2 細かく分かれているので一言では書けないんですけど、国の避難指示が出た地域か、避難指示がいつ解除されたか、などによって金額が変わります。特に注目されているのは「精神的損害」です。帰還困難区域に住んでいた人は1450万円、福島市や郡山市など避難指示が出なかった地域は大人1人8万円、などとされています。

Q3 十分な賠償になっているの?

A3 いまの賠償基準は2011年8月にできたものです。2013年12月まで細かな見直しはありましたが、大幅な変更はありません。事故からすでに11年以上経っていますが、いまだに放射線量が高いとか、避難指示が解除されても住民が帰ってこないとか、いろいろあって原発事故の影響が長期化しているのは明らかですよね。それに見合った賠償ではないと考える人は多いと思います。中通り1人8万円はいくら何でも…と思います。

Q4 それじゃあどうすればいいの?

A4 そこで、全国各地で裁判が起こっています。たとえば福島地裁からはじまった「生業訴訟」の場合、事故の被害を受けた市民たちが、国と東電に対して「法的責任」があると主張し、今の基準を超える賠償を求めています。仙台高裁では、基準額より300万円高い賠償を勝ち取った地域もありました。また、もともとの基準では「被害なし=賠償ゼロ」という地域の中で、子どもと妊婦については6~11万円の賠償を勝ち取った地域もありました。少額ながら賠償義務が認められたのは有意義です。

Q5 裁判の行方は?

A5 「生業」に加え、「千葉」訴訟、「群馬」訴訟の合計3事件が同じ時期に高裁判決が出ました。高裁段階での国・東電の法的責任への判断は以下のように分かれています。

国の責任東電の責任
生業訴訟〇(責任あり)〇(責任あり)
群馬訴訟✕(責任なし)〇(責任あり)
千葉訴訟〇(責任あり)〇(責任あり)
高裁の判断

 いま、この3事件を一緒にして最高裁が審理しています。最高裁は3月2日に、まずは東電の「敗訴」を確定させました。国の責任については今夏に結論が出そうですが、とりあえず東電の敗訴が確定したので、高裁が命じた賠償額は確定したということになります。

Q6 賠償が増えるのは裁判の原告だけ? みんなが裁判をしなきゃダメ?

A6 確かに裁判所が支払いを命じているのは原告たちだけです。しかし、物の道理で言えば、賠償は裁判に関わっていない人たちにも広げるべきでしょう。なぜかというと、生業訴訟は地域単位で賠償額を決めているからです。

たとえば同じ町に住むAさんとBさんが集団訴訟に加わっているとします。本当なら、個別の事情によって2人の被害額は異なるはずです。しかし、それを考えていると裁判に時間がかかるし、補償に差が出てしまう。そこで、「この地域に住む人への賠償はこれくらい」と算定することにしています。よって同じ地域に住むAさんとBさんの賠償額は同じです。

住んでいるところで賠償額が決まるならば、AB両氏のご近所に住んでいるけれど、裁判に参加していないCさんはどうなるでしょう。「この地域に住む人への賠償はこれくらい」の理屈でいけば、Cさんも同額の賠償を受けることができるように思います。そちらのほうが平等ではないでしょうか。

Q7 どうすれば平等な賠償は実現する? 

A7 Q1に戻ります。「ゲンバイシン」という国の組織が基準を決めています。この基準に則って東電が賠償を行います。ですから、国(ゲンバイシン)が賠償基準を見直せばいいのです。そこで生業など3事件の原告たちは3月2日の最高裁決定後、ゲンバイシンに基準見直しを申し入れました。その流れを確実なものにするために、きょう3月28日、こんどは福島県に対しても同じことを求めました。

Q8 福島県は賠償の仕組みに直接関係ないのに、なぜ福島県にも申し入れを行うの?

A8 被害を受けた人の多くは当時福島県内に住んでいたのですから、福島県が被害回復のためにシャカリキになるのは当然「あるべき姿」だと思います。福島県はこれまでも、ゲンバイシンに対して基準見直しを求めてきたそうです。しかし筆者が見ている限り、少なくとも内堀雅雄知事が国(ゲンバイシン)に対して「賠償基準見直し」を熱心に主張した形跡はありません。だから「福島県はどっちを向いてるんですか!」とうったえかけたのが、3月28日の福島県申し入れだと思います。


以上です。

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