先日、昨年9月にオープンした「東日本大震災・原子力災害伝承館」(伝承館)の、今春以降の展示変更点を報告する記事を書きました。
この記事に本田宏さんがご意見を寄せてくださったので、ご紹介します。
【本田宏さんからのメッセージ】
題名: 甲状腺検査に関して
メッセージ本文:
最近原発事故後の甲状腺検査に関して「過剰診療」という言葉を、様々な媒体で見るようになりました。
私も検査をすれば、甲状腺腫瘍が発見される確率が高くなること、その腫瘍が全て手術の適応となるわけではないことは理解しています。
しかし検査によって発見され、手術によって救われる患者さんもゼロではないと聞いています。
原発事故の責任は、検査を必要とするお子さんやご家族ではありません。
「過剰診療」という言葉で、必要な検査が受けにくくなることや、検査を希望する人々にさらなるストレスがかかることを大変心配しています。
【ウネリウネラから一言】
本田さんは福島県出身の外科医で、現在は日本の医療崩壊をなんとか食い止め再生させようと、日々奔走していらっしゃる方です。その本田さんから寄せられたこのメッセージは、非常に説得力があると感じます。
本田さんは、検査をたくさんすれば甲状腺腫瘍が発見される確率が高くなるが、その腫瘍が全て手術の適応となるわけではないことは認めつつ、 「過剰診療」という言葉が使われることで、必要な検査が受けにくくなること、検査を希望する人々にストレスがかかることを憂慮されています。ウネリウネラはこの点に深く共感するとともに、医師の方からのこうした意見発信は非常に貴重なものだと考えます。
医師をはじめ、「専門家」と呼ばれる肩書きを持った人が意見を述べたとき、私たちはそれに対し、ほんのささいな疑問や心配事を、躊躇なく打ち明けることができるでしょうか。私にはなかなかそれができません(ウネリはどうだかわかりませんが…)。少なくとも、医師から「過剰診療」「過剰診断」といった説明がされたら、「検査しないほうがいいのかなあ…」という考えが頭をよぎると思います。こうした状況は、望ましいことでしょうか。
伝承館の展示パネルには、甲状腺がんと放射線被ばくの関連について、「現段階において、本格検査(検査2回目)に発見された甲状腺がんと放射線被ばくの間の関連は認められない」と書かれています。この記述については、SNSなどでも意見が散見されました。
こうした展示が、各地から来館者が訪れる伝承館に堂々と示されることで、原発事故による健康不安を抱えている人たちの気持ちが押しつぶされてしまわないか、心配に思います。
引き続き、みなさんからのご意見をお待ちしています。よろしくお願いします。
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