ウネリウネラは8月4日、過労死問題について語るオンラインイベントを開催しました。
初開催ということで緊張しましたが、1時間ほどの「zoom」のイベントに13名が参加してくれました。ありがとうございました。
文章だけでなく、さまざまな方法で皆さまとやりとりしたいという理由で始めたのが、今回の試みです。まずは、ウネリが長年関心を持ち続けている過労死問題、その中でも記事で扱うのが難しい「過労死遺児」のことをテーマにしました。
「過労死遺児」とは、過労死で親を亡くしてしまったこどもたちのことです。家族を突然亡くし、その衝撃、悲しみの深さは察するに余りあります。けれど私(ウネリ)は、過労死取材を始めてもうすぐ10年になる中で、未成年の遺児を取材したことは一度もありません。取材によって、その子にどのような影響を与えてしまうかが心配だからです。
また、遺児について保護者の方(多くの場合、亡くなった方の配偶者)へ取材することも、慎重さが必要だと思っています。自分のことが語られている記事をその子が読んだ時に、どう感じるかが心配だからです。
しかし一方で、「過労死遺児」と呼ばれる方々がいることは、多くの人に知ってほしいと思っています。そして、そのこどもたちが将来どんな思いをするかを想像することは、世の中から過労死を減らすことにつながると考えています。
過労死遺児のことを知りたいし、広めたいけれど、遺児一人ひとりのことに踏み込むことは避けたい。そうしたジレンマの中、オンラインイベントのゲストとして、この方を選ぶことにしました。
元経済産業省職員でNPO法人「ディーセント・ワークへの扉」代表の飯塚盛康さんです。
ご遺族が集まる「全国過労死を考える家族の会」では、ずっと前から遺児たちの交流会が行われていました。
2014年に「過労死等防止対策推進法」という法律ができた結果、この交流会を国も支援するようになりました。そうした経緯で2016年から年1回、厚生労働省の支援による「過労死遺児交流会」が開かれています。この交流会にコーディネーター(準備会委員)として毎年参加しているのが、飯塚盛康さんです。
飯塚さんなら、交流会での経験を通じて、個別の深い部分に踏み込まずに、過労死遺児のことを垣間見させてくれると考えました。飯塚さんがどんな話をしたかは、週刊女性primeに記事として発表しましたので、お読みください。
過労死・過労自殺を出してしまった会社は、その方の両親や配偶者だけでなく、子どもも傷つけます。その傷は大人よりももっと深いかもしれません。そこまで思いを巡らせて、とにかく日本のすべての会社が、自らを戒めてほしいと思います。
この言葉に深く共感します。
また、ウネリウネラのオンラインイベントは、発言可能な参加者の方からできるだけご意見をいただきたいと思っています。この日は、「遺児が悩みを相談できる場所はありますか?」など、重要な質問をいただきました。ありがとうございました。
イベント後にはたくさんの反省点も見つかりました。
司会役を務めた私(ウネリ)は参加者の方に発言を呼びかけましたが、終了後、参加して下さったご遺族の方に「遺族は簡単には話せない」とご指摘を受けました。その通りだと思います。
また、このイベントのタイトルを「過労死遺児のケアについて」としましたが、ご遺族のお一人から「遺児は『ケア』できるものではない。」とご指摘を受けました。これも確かに、その通りです。軽々しく「ケア」という言葉を使ってしまったことに恥じ入りたい気持ちです。
これまでの取材を通じて過労死問題の深刻さを自分なりに分かっているつもりになっていましたが、思いあがりや理解不足があったことに、気づかされました。
反省点が多々見つかりましたが、ご遺族の方々をはじめ、このサイトの読者の皆さんから教えてもらいながら、これからも引き続き過労死の問題を学んでいきたいと思います。また、さまざまな方の協力を得て、今後も皆さんとの話し合いの機会を設けていきたいとも思っています。
どうぞよろしくお願いします。
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