一昨日、福島県内の伝承施設を概括した大阪市立大・除本理史教授の論文を紹介しました。
この記事に福島県出身の本田宏さんがご意見を寄せてくださったので紹介します。また、本田さんのご意見に少し関連するものとして、「東日本大震災・原子力災害伝承館」(双葉町)の来館者数などについて少し書きます。
【本田宏さんからのメッセージ】
題名: 伝承館の教育的意義
メッセージ本文:
いつも貴重なレポート有難うございます。今回の記事を拝見して、福島だけでなく日本中で、伝承施設がどのように教育現場で活用されているのか知りたくなりました。以前日本の教育は座学が多く、校外で学ぶ機会が少ないという話を聞いたことがあります。日本の教育現場でも各種の伝承施設を利用して、その前後で歴史や自然等々の問題を学ぶ(自分で調べることも含めて)ようにすれば、より学習が身近になり考える習慣もつくのではないかと思いました。
【ウネリウネラから一言】
本田宏さん、ありがとうございました。「座学ではない学習機会が大事だ」というご意見に大いに賛同します。同時に、「どのような伝承施設で学ぶか」ということも大事になってくると思います。いろいろな角度から学べるといいですよね。
そういう観点で言うと、双葉町の 「東日本大震災・原子力災害伝承館」には気になることがあります。
伝承館の展示内容などを決めているのは福島県庁の生涯学習課です。この部署では、「伝承館学習活動支援事業」というものを実施しています。内容を簡単に言うと、県内の私立を含む学校が集団で伝承館を見学する時に、移動に必要なバス代や高速道路料金を県が補助する、というものです。
この事業はどのくらい使われているのか。
2020年度(9月20日のオープンから翌年3月末まで)は、申請が70件(バス129台)。この事業を利用した来館者(児童・生徒、引率者を含む)は合計3695人でした。この事業にかかったお金は1529万7千円だそうです。
同じ期間の伝承館の来館者数は合計43750人でした。県のバス代補助事業を使った人が全体の1割弱を占めることになります。(他にも、こうした補助事業があるのかもしれません。)
ちなみに、昨年9月のオープンから今年9月16日現在までの、伝承館来館者数は、合計64784人です。県のバス代補助事業が今年度どのくらい使われているかはまだ分かりませんが、予算としては昨年の倍以上の約3600万円が計上されています。
伝承館は、来館者の1割弱がバス代補助事業利用者
ポイントは「どのような伝承施設で学ぶか」です。一方的に「伝承館がダメ」と言うつもりはありませんが、さまざまな課題があることは本サイトで書いてきた通りです。公的施設であるからこそ、踏み込みが足りないと感じる部分もあります。いろいろな施設で学ぶことが大事だと思います。
除本氏の論文だけでも15ケ所の施設が紹介されています。そのうち一部にのみ福島県が見学を促すのはいかがなものか。と考えていますが、ほかの方のご意見も聞きたいところです。(コミュタン福島にもバス代補助事業があるようですね……)
関心のある方、ぜひご意見をお寄せください!
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