伝承館は何を伝承するのか~みなさんの声⑨

 福島県双葉町に昨年オープンした「東日本大震災・原子力災害伝承館」(伝承館)の「あるべき姿」を考えていきます。企画の狙いについては前の記事「企画のはじめに」をお読みください。

 昨年10月27日付でアップした文章「伝承館へ向かう車中で」に関連して、双葉町出身の元新聞記者、小林茂さんからコメントをいただきましたので、紹介します。

 10月の文章は、わが家の子どもがひそかに、自宅の本棚にあった絵本、『ここが家だ―ベン・シャーンの第五福竜丸』(絵:ベン・シャーン 構成・文:アーサー・ビナード/集英社)を読んでいて驚いた、という内容です。

 小林さんはこれに関連して、20世紀の米国を代表する画家、ベン・シャーンの絵が福島県立美術館に収蔵されていることを教えてくれました。そして、「あの作品」について触れてくれています。  

 ぜひ、お読みください!


【小林茂さんからいただいた文章】

タイトル:ベン・シャーンと県立美術館

本文: こんにちは。ご存知かと思いますが、第5福竜丸を題材にしたベン・シャーンの「ラッキー・ドラゴン」が県立美術館の常設展示で観ることができます(現在は改修工事のため閉館中ですが・・・)。ラッキー・ドラゴンに触発されたヤノベケンジさんのサン・チャイルドのプロトタイプとともに、展示されています。2018年、ヤノベさんが寄贈し、福島駅前のこむこむ館にいったんは展示されたサン・チャイルド像が、ネット上の批判にさらされ、炎上の拡大を恐れた福島市長が早々に撤去した問題の際に(ベン・シャーン作品を収蔵している関連で、事故前からヤノベさんと県立美術館との交流があり、サン・チャイルドをモチーフにした企画展等ではこの少年像に込められた物語や意図は問題にされることがなく、むしろ振り向かれることの少ない企画・活動だったことを思えば、SNS上で湧き上がったバッシングは異常とも思えるものでした)、あの時と、この時とどこがどう違うのか、さらには、表層の取材で終わっている地元メディアは、サン・チャイルドが福島にやってくる原点となった美術館の活動を理解し、取材した上で記事を書いているのか、などの確認のため、当時企画に携わった学芸課長に取材し、常設展示会場でのベン・シャーン作品と、ヤノベさんのサン・チャイルドとの配置の仕方を関心深く受け止めたものでした。改修工事が完了したら、子どもさんもご一緒にぜひ観に行かれることをお奨めします。撤去されたサン・チャイルド像は、市内のどこかに解体されたまま保管されています。個人の思いとしては、双葉町の原発広報看板とともに、伝承館に設置されたら--と願っています。


【ウネリウネラから一言】

 今回も大変興味深いご意見をいただきました。

 サン・チャイルド騒動は「アートとはなにか」を考えさせられる出来事でした。この騒動については小林さんご自身が「こどけん(子どもたちの健康と未来を守るプロジェクト)通信」に詳しく書いてらっしゃるので、それを基にふり返ると、この像には下記のような評価があったそうです。

少年像の胸にある線量計の数値[000]を指して「(自然界にはもともと放射線が存在するので「0」になることは)科学的にあり得ない」とか、防護服を連想させる出で立ちに「福島が未だ(防護服が必要な)危険地帯だと思われる」「原発事故の記録がよみがえり不快感が募る」といった批判の一方で、「そもそも美術作品は、科学的正しさという尺度でくくれるものなのか」といった反論もあった。

「こどけん通信」9号(2018年)より

 そうした市民の反応を受け、福島市の木幡浩市長は

「意見が分かれているなかで、復興の象徴としてこれ以上展示を続けるのはふさわしくないと考えた」と撤去方針を明らかにした。

 だそうです。なんと変わり身の早い……。

 この騒動は、3・11と福島原発事故だけでなく、「アートとはなにか」というまた別の大きな問題を考える材料にもなるのではないでしょうか。一昨年の「あいちトリエンナーレ問題」にもつながる大きな出来事だったと思います。

 「撤去して騒動自体をなかったことにする」のではなく、今後もこの件を議論していくべきです。議論を重ねるためにも、伝承館にこの像を展示するのはグッドアイデアだと思うのですが・・・

 皆さん、いかがでしょうか?

 そういえば、伝承館にはアート作品が一つもないですよね。ひとの感性に訴える仕掛けが、全くないというのも……。アートに限らず、「こんな展示が必要だ」というご意見もお待ちしております!


皆さまからのコメント、大募集中です!

 多くの方からご意見をいただき、議論を深めたいと思います。短い投稿、ひと言コメントも歓迎です。もちろん、匿名・ペンネームでもOKです。掲載中の投稿を読んでの感想なども、ぜひお寄せください。投稿、お待ちしています。

 以下のフォームよりご意見をお寄せください。必要事項を明記し、紺色の「送信」ボタンで投稿完了です。

※各エリアの展示文章はこちらの一覧にまとめています。→「伝承館は何を伝承するのか」

※フォームでの送信がうまくいかない場合や長い論考などはuneriunera@gmail.comへお願いします。コメント欄などもお気軽にご活用ください。

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