新型コロナウイルスの感染者を見つけるには、PCR検査が必須です。福島県は5月7日現在、「1日最大約200人分の検査が可能」と言っています。
ところが一方で、県内では「コロナに似た症状があるのに検査をしてくれない」という声も多数聞きます。
福島県内の検査体制は実際にはどのくらい「稼働」しているのでしょうか?県の発表データなどをもとに計算してみました。
まずは福島県内のPCR検査体制を確認してみましょう。
新型コロナウイルスの国内感染が始まって以来、福島県は検査体制の拡充に取り組むと、言い続けています。
県の発表資料によると、4月1日には県内で1日最大124検体の検査体制を構築したそうです(実際には1人から2検体とる場合もありますが、県は「最大124検体で約124人分の検査が可能」としています)。
それ以降も検査体制を拡充し、4月13日からは最大約150人、4月27日からは最大約200人分の検査が可能になった、としています。県の発表によれば、福島県内の検査能力(キャパシティ)はこの1か月間で増え続けています。
では、その検査体制が、実際にはどのくらい「稼働」しているのでしょうか。
1日ごとの「検査数」を「キャパシティ」で割って、検査の「稼働率」として算出してみました。4月1か月間の稼働率の集計は、以下の通りです。
日付 | 検査数 | キャパシティ | 稼働率 | 相談件数 |
1日 | 14人 | 124人 | 11% | 356件 |
2日 | 28人 | 124人 | 23% | 339件 |
3日 | 14人 | 124人 | 11% | 362件 |
4日 | 29人 | 124人 | 23% | 256件 |
5日 | 22人 | 124人 | 18% | 245件 |
6日 | 19人 | 124人 | 15% | 700件 |
7日 | 68人 | 124人 | 55% | 439件 |
8日 | 71人 | 140人 | 51% | 429件 |
9日 | 61人 | 140人 | 44% | 528件 |
10日 | 66人 | 140人 | 47% | 491件 |
11日 | 70人 | 140人 | 50% | 287件 |
12日 | 30人 | 140人 | 21% | 179件 |
13日 | 13人 | 150人 | 9% | 635件 |
14日 | 82人 | 150人 | 55% | 465件 |
15日 | 68人 | 150人 | 45% | 444件 |
16日 | 85人 | 150人 | 57% | 428件 |
17日 | 72人 | 150人 | 48% | 444件 |
18日 | 99人 | 150人 | 66% | 218件 |
19日 | 56人 | 150人 | 37% | 241件 |
20日 | 33人 | 150人 | 22% | 578件 |
21日 | 91人 | 150人 | 61% | 379件 |
22日 | 91人 | 150人 | 61% | 333件 |
23日 | 111人 | 150人 | 74% | 281件 |
24日 | 78人 | 150人 | 52% | 417件 |
25日 | 102人 | 150人 | 68% | 203件 |
26日 | 53人 | 150人 | 35% | 169件 |
27日 | 39人 | 200人 | 20% | 348件 |
28日 | 91人 | 200人 | 46% | 256件 |
29日 | 86人 | 200人 | 43% | 146件 |
30日 | 44人 | 200人 | 22% | 313件 |
上の表について、少し補足します。
PCR検査には、「新規感染者を見つけるための検査」と「すでに感染が判明した人が、医療機関を退院できるか確認するための検査」がありますが、表の「検査数」はその合計数です。
たとえば4月29日の検査数は合計86件ですが、そのうち、「新規感染者向けの検査」は76件。「退院のための検査」は10件でした。
表を見れば、一目瞭然ですが、キャパシティが伸びているにもかかわらず、実際の検査件数はそれほど増えていません。
緊急事態宣言が発令された4月において、検査件数が100件を超えた日は23日と25日の2日間しかありませんでした。検査件数がキャパシティの半分にも満たない日が、この1カ月で19日間もありました。
発熱などの症状でコロナ感染を疑う人は、今も数多くいます。
保健所が設置する「帰国者・接触者相談センター」への相談件数は、4月だけで1万件を超えています。県の担当者は「必要なPCR検査は実施している」と話していますが、「発熱や胸の痛みで苦しいのに検査をしてもらえない」と訴えている人がいるのは事実です。
これまでに福島県内で感染が判明している80人の中には、感染経路が不明な人も一定数います。
感染の広がりを正確に把握し、収束につなげるためには、疑わしい症状がある人に徹底的にPCR検査を行うことが不可欠だと考えます。
コメント