子どもに被害をどう伝えるのか~性暴力の問題を考える~

落書き帳

 ウネリウネラBOOKSのブログに、私たちのことがテレビ放送された件について書きました。

未読の方はコチラ⇒福島中央テレビの取材を受けました! – ウネリウネラBOOKS (uneriunera.com)

 取材から放送まで、気持ちの揺らぎがなかったわけではなく、また、放送直前にはやはり不安も覚え、みなさんに「見てね」とお知らせすることは、とうとうできませんでした。放送を終えたあとも、少し呼吸が浅いような、ヒリヒリした心境ではあるのですが、なんとなく、自分を認めてやってもいいような気持ちもしています。私にとってはとても大きな変化です。

 放送当日。リアルタイムで見られるかどうかという問題がありました。午前中から録画の用意はしました。生放送だって録画だって内容は変わらないのだから、どちらでもいいと思われるかもしれません。私も頭ではそう思っていましたが、「いま、この瞬間にこれが放送されている」と意識しながら見ることへのハードル、さらには、そもそも「やっぱり見られない」という心境になる可能性もありました。どのような反応が自分に起こるかは、正直ギリギリになるまで、自分でもわかりませんでした。



 私の最大のアライであるウネリが「最悪見られなくても代わりに見ておくから大丈夫」と言ってくれていたので、流れにまかせることにしました。

 放送は夕方6時15分以降の時間。9歳(小4)、7歳(小1)、4歳(年中)の小さな3人も、それぞれ帰宅しています。放送自体のことは言っていましたが、どんな内容になるのか、詳しくは伝えていませんでした。

 私がウネリに「子どもたちには見せないほうがいいかな。見たら嫌な気持ちになるかな」と聞くと

「それはない」と一蹴。まごついた結果、リアルタイムの放送終了10分後くらいに、録画したものを見始めました。

ウネリウネラBOOKS作業の様子。

 9歳の子は、もうだいぶいろんな物事がわかっています。5~6歳のころから、「お母さんは前に人からとてもいやなことをされて傷ついて、心の病気になっている」と隠さずに伝えてきました。その後も段階を踏んで、その「いやなこと」は、ある悪い男の人たちにされた暴力なのだということ、その結果、今でも(子どもたちにでも)触られたくない部分やしてほしくないこと、言ってほしくない言葉があること、怖いと感じる場所や人、物事が少し多いこと、電話(電話による執拗な被害も長期にわたってうけたことから)や知らない人との会話に臆病であることなどを話しています。

 7歳の子にはそこまで詳細にではありませんが、男性から傷つけられたことによって、心の病気になっていることは伝えています。仲の良い兄から、もしかしたらもう少し聞いているかもしれません。放送が近づきナーバスになっている私の様子に気づき、「大丈夫?」「休んでていいんだからね」「ご飯も食べたいときでいいんだからね」と、ずっと励ましてくれていました。心配をかけてしまったことを申し訳なくも、ありがたくも思っています。

 4歳の子は、まだよくわかっていないかもしれません。けれど4歳とは言え、日々さまざまなところで影響を受け、性的な表現を使った下卑た笑い、悪ふざけをすることがあります。

 わが家ではそうした振る舞いを一切許しません。はたから見たら少しうるさすぎるくらいに、とことん言って聞かせます。できるだけわかりやすい言葉を使う工夫はしていますが、そうするとどうしても長い説教になってしまうし、その場ですべてが理解できるとは思っていません。それでも、そうしたことを言ったり、したりしているのを見聞きするたびに、きちんと指摘します。

 私たちウネリウネラは、わが家の3人の男の子(見かけ上)に対し、等しくこういう態度で接してきました。それが正しいのかはわからないし、不十分なことや逆効果のこともあるかもしれない。

 けれど性被害を受けた私自身が母となり、日々葛藤し、時には大きな困難を感じながら子と暮らすなかで、家族のなかに一定の共通認識のようなものが、築かれつつあるとは思います。それは、既に被害者である母(私)をさらに傷つけることは絶対しないこと、母が受けた暴力を自分たち自身は絶対にしないことです。

 そしてそのふたつの約束は、これからずっと必ず守ってほしいと、伝えています。すべての人を、お母さんだと思って接してほしいと。

 放送を見た家族はみんな、私をあたたかく包んでくれました。

「よかった、よかった」

「お母さんかっこよかったよ。『主役』だったね」

 あまり味はしませんでしたが、その日は私の好きな焼き鳥(ナンコツ串)を、ウネリが用意してくれました。

「心の容量」(『らくがき』より)

 「お母さん、きのう素敵だったよ」

4歳の子は、翌日にも言ってくれました。続けて

「お父さんもかわいかったよ」

とも。そうそう、お父さんがラーメンをつくっているところも、映っていたよね。

 そうだね、かわいかったかな。

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