【ありのままを生きる】小浜耕治さんのお話の一部採録

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 先日、仙台市内で「にじいろCANVAS」共同代表の小浜耕治さんを講師としたお話し会に参加しました。タイトルは「ありのままを生きる」。”多様な性”について考えるための貴重な時間だったと思いますので、お話の一部をここで紹介します。

※このお話し会は、市民団体「リレーションシップ・みやぎ」が主催したイベントです。小浜さんとリレーションシップ・みやぎの星野はるか代表にご承諾いただき、本記事を掲載しています。皆さまに感謝申し上げます。


【ありのままを生きる・小浜耕治さんのお話】

お話をする小浜耕治さん=3月18日仙台市内、撮影ウネリウネラ

●小浜耕治さんプロフィール
1962年大阪府出身、仙台市在住。東北大学で化石などを研究。29歳のときに自分は男性が好きであることを受け入れ、東北初のゲイサークルの立ち上げメンバーになった。現在は”多様な性”をテーマに活動する「にじいろCANVAS」や、自治体・企業にセクシュアリティの多様性を重視した提言を行う「レインボー・アドボケイツ東北」などの団体で活動している。性的マイノリティだけでなく生活困窮など多数の困難を同時に抱えた”ダブルマイノリティ””マルチマイノリティ”の人びとへの相談・支援にも取り組む。Twitterアカウント:@aoikousi

「人の数だけ”性のあり方”はある」

 誰を好きになるのか。どういう性で生きることを望んでいるのか。自らの性をどう表現するのか。身体的特徴はどうなっているのか――。人の性のあり方を決める要素には無数の組み合わせとグラデーションがあると、小浜さんはいいます。

これらの要素(性的指向、性自認、性表現、性的特徴)は、何か一つが決まれば他が全部決まっていくというものではありません。それぞれが独立して、個別に決まっています。だからその組み合わせは無数にあります。
さらに言えば、これらの要素にはグラデーションがあります。性的指向で言えば、自分はこれくらい男性が好きで、これくらい女性が好きになる、というグラデーションがあります。全然好きにならない、ということもありますね。両方とも好きになるということもありますね。また、性自認についても、自分はこれくらい男性でこれくらいは女性かなという、グラデーションがありますね。自分は男性でも女性でもないという人もいたり、男性でも女性でもあるという人もいます。
人の数だけ性のあり方、セクシュアリティはある、ということです。あなたと私の違いを認め合い、同じところを見つけて共感し合う。そういうことができればと思います。

小浜さん

「自分のセクシュアリティは変えられない。受け入れて生きていく」

 みんながありのままの自分で生きていいはずだ。それなのに社会は、「生まれたときに診断された性のままで生きなさい」「異性を愛しなさい」と、型にはめようとしてくる。そのことによって性的マイノリティの人たちはとてもしんどいめにあっていると、小浜さんはいいます。

 最近出た調査によると、10代のLGBTQの人たちの不登校の割合はマジョリティを含めた全国平均と比べて中学生が5.4倍、高校生が10.6倍。自殺を考えた人の割合は3.8倍にもなるそうです(認定NPO法人ReBitによる2022年の調査)。

 小浜さんはこの状況を危惧しています。

自分は性的マイノリティであり、みんなから否定される存在である。そういう風にどんどん考えてしまうわけですよね。中には「あんまり悩まなかった」という人もいますが、多くの人は「そんなことはない」と自己否認したり、周りと同化したり、ということをくり返しながら、自分のセクシュアリティを受容していきます。

 このあと、小浜さんは自分の経験を語ってくれました。

私は男性が好きで、性自認でいえば男性でもあり、女性でもありという人間だなと思っています。小さい頃からそれに気づいてはいたけれど、受け入れることができたのは29歳の時です。20代が終わるころまで、私は「そうであってはいけない」と思っていました。

 なぜ自己否認や周りへの同化をやめ、自らのセクシュアリティを認めようと思い立ったのか。小浜さんはいいます。

10代や20代っていろんな人生の選択をしますよね。その時に、自分はこれを本当に求めているんだろうかというのが全然分からないんですよ。「異性愛者としていつかは結婚する(べき)」という「前提」を置いている。そういう「前提」があると、自分が本当にやりたいことって見つからないんですよね。自分が本当にやりたいことをやっていくと、蓋をしていたものが出てきてしまうからです。

でも、人生は積みあがっていくものですよね。思い出したくないような嫌な経験も、いい経験も、少しずつ積みあがって、自分ができていきますよね。「前提」の上に積み上げちゃダメなんですよ。本当の自分、信頼できる自分がいて、ダメなところもひっくるめて自分だよなと、そう思えて初めて、「これはどうしてもやりたい」というものが見えてくると思うんです。

自分の性を受け入れて生きていく。そういうことが必要だろうと思っています。

小浜耕治さん=同

「震災を経験。覚悟を決めてやらなければと思った」

 こうしていろいろな活動をはじめた小浜さんですが、東日本大震災を経験し、セクシュアリティについてさらに覚悟を決めて取り組まなければいけない、と思ったそうです。

普段からちゃんとやっておかないと、自分や仲間を助けようと思っても助けられないと実感しました。性的マイノリティの人は地域と関わらず、地域と離れて、自分のプライバシーを守らなくてはいけない。そういう生き方が主流だったので、地域の課題である「防災」などからは一番遠いんですよね。このままでは地域から本当に置いていかれると感じました。

むしろ、これまでは自分を守るために地域から離れていたけれど、いざという時には何とかなっていくものかな、という風にも思いましたね。私たち男2人が住んでいるマンションは大規模半壊でしたが、隣りに住んでいた高齢のご婦人と、「大丈夫ですか」と声をかけ合うことができました。当たり前のご近所づきあいができたんです。それまで少し距離を置いていたんですが、あまり気にしなくていいのかなというのを実感しました。

自分で社会に出て行って、これまで社会と隔てられてしまっていたところをどんどん埋めていかなければいけないと感じました。

「”多様性だけ”じゃなくて”個別性”が大事」

 お話し会の参加者の方から「多様性」について聞かれ、小浜さんはこのように話しました。

どんどん分けていけば結局一人ひとりになっちゃうでしょうと、そういう話なんですよね。だから多様性と同時にもう一つ大事なのは個別性です。私はここにいるんだよ。私のあり方をそのままに尊重してください、ということです。ただ「多様性」というだけじゃなくて、その中にちゃんと自分がいて、一人の人間として尊重される、ということです。
私は金子みすゞが大好きです。「みんな違ってみんないい」。その通りなんですけど、本来は「みんないい」はずなのに、実際にはそうなっていない。明治の時代には「みんないい」で終わっていたけれど、今の時代は「みんながよくなっていないのはおかしい」というところまで行きたいなと思っています。


【ウネリウネラから】

 小浜さんのお話を聞くのはこれが初めてでした。豊富な知識に裏打ちされた優しい語り口にひきこまれ、参加者との意見交換を含めるとおよそ3時間のお話し会はあっという間に時間が過ぎてしまいました。

 ご紹介したのは小浜さんのお話のごく一部です。特にご自身の思春期の頃のお話はとてもプライベートな内容のため、文字にしませんでした。でも実は、そこがお話の中で最も心を打たれた点でもありました。読者の方々は機会がありましたらぜひ、小浜さんのお話を直接聞いていただけたらと思います。

 このお話し会を開いてくださった「リレーションシップ・みやぎ」は、「生きづらさを抱えた子どもを持つ親たちが孤立することなく支え合う」ことを目的とする団体です。仙台の街なかにある「仙台市市民活動サポートセンター」を拠点として活動しています。活動の詳細は団体のブログなどでチェックしてみてください。

 小浜さん、リレーションシップ・みやぎの皆さん、ありがとうございました。

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