ああ、しあわせの~

トンボよ~ 

どこへ~

 こんにちは。うねりうねらと申します。あろうことか、この「ねむ田さん」しりーずに読者の方からお褒めの言葉をいただきました。ありがたいことです。あってはならないことです。青天の霹靂、青いイナズマでございます。毎度、おおきに。

 実は私たち、かの「いえす・きりすと」の生誕日にもねむ田さんの印刷所を訪ねておりました。以前問題になったコウセイ、いわゆる校正刷り(試し刷り)で見つかった修正点を直し、サイコウ、いわゆる再校正刷りを出してもらったのです。もみの木に飾りをつけたり外したり、七面鳥を焼いて食べたり骨を捨てたりするのに夢中でご報告が遅れました。

 前夜のごちそうで胃袋をぱんぱんにした私たちは、ふうふう息をしながら、「寅さんの渥美清って俳句がすごいよね」などと話しながら、ねずみ色の建物にたどり着きました。呼び鈴を鳴らしましたが、ねむ田さんは不在。ムッシュ社長もいらっしゃらず。これは世間知らずのうねりうねらがお昼時にお邪魔したせいです。二人ともきっと、家族との午餐のために一時帰宅したのだと思います。

 ということで玄関先でもじもじしておりますと、留守役の方が「制作の担当を呼んできますね」と言って、奥の部屋に声をかけてくれました。

「ルドルフさーん」

そう。このルドルフさんこそが、ムッシュ印刷所制作部のすご腕社員なのでした。(ちなみに、ねむ田さんは営業担当のすご腕です。念の為。)

ルドルフさんはとてもやさしい制作の専門家でした。赤鼻ではありませんが、聖夜のトナカイのようにやさしい方でした。そしてやはりまだ残っていた修正点を見つけてくれていたのです。できたてほやほやのサイコウを私たちに渡し、言いにくそうに、

「実はですねえ……」

と言うのです。ためらいがちに言うところが、ずばずば指摘するねむ田さんとは好対照だなと思っていると、ルドルフさんは表紙カバーのデザインを指さしました。

「このあたり、トンボのつけ方が少しおかしくて……」

 がーん。

それだけは言われないと思っていた。言われるはずがないと思っていた。初めての打ち合わせでムッシュ社長に褒められて自信満々だったトンボが、ルドルフさんによって絶滅させられたのです。蛇に睨まれた蛙。ルドルフににらまれたうねりうねら。

もちろん、悪いのは私たちです。表紙絵の寸法を変えたにもかかわらず、以前つけた「ムッシュのトンボ」、トンボ de ムッシュをほったらかしにしたばっかりに、位置がおかしくなっていたのです。ほかにも、頁の真ん中と角にしか生息しないはずのトンボが、よく見ると一頁の中にたくさん飛んでいるではありませんか。これは確認不足。ルドルフさん、すみません。

 この日のサイコウで確認終了、印刷機へ猪突猛進。と思っていた私たちは敷居にけっつまずいてすっころんだ犬のような感じになりました。サイコウは最高の出来ではなかったのです。モー、こまった。

ルドルフさんに「平に平に」と謝って、洋菓子店の看板人形のように舌をぺろりと出して、その日は脱兎のごとく逃げ帰ったのでした。うねりうねらは二人いますので出した舌は二枚ですが、いわゆる「二枚舌」ではありません。邪悪な竜の舌のように、先が二つに分かれてもおりません。

 ちゃんと約束通り、年明けにはトンボを直したいと思うのです。未来のことは分かりませんが、一月下旬には、本を完成させたいと思うのです。そう思いながら、今はまだ年賀はがきとがっぷり四つの相撲をとっているのであります。この駄文はちょうど相撲の水入りの時間に書いているのであります。酒という力水は断じて入っておりません。

 というわけで、この日もまた印刷所を出たところで自慢の私のノドが鳴りました。

ああ、しあわせの~

トンボよ~ 

どこへ~

 長渕さん、トンボはどこへ、入れたらいいのでしょうか。もし分かったら、ぜひ教えてください。年内に。

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