この企画は、今年9月福島県内にオープンした「東日本大震災・原子力災害伝承館」(伝承館)という施設の「あるべき姿」を考えていくものです。企画の狙いについては、「企画のはじめに」をお読みください。

 議論の材料として、館内の各フロアに掲示されている「文章」をアップしていきます。さすがに展示物そのものの画像はアップできませんが、「文章」を読むだけでも、伝承館の「伝え方」の一端は分かると思います。

 この段階ではあえて私たちのコメントは付記しません。読者の皆さまからコメントを集めて、みんなで考えていきたいのです。ぜひ、これらの文章を読んで感じたこと、指摘したいことなどを書き送ってほしいと思います。実際には伝承館に行ったことがない人も、議論に参加してもらえたら嬉しいです。

 投稿フォームは毎回記事の下に設置しておきます。

 前回は2階展示室の最初の展示 ①【災害の始まり】のうちの、<1-2>東日本大震災 地震と津波の記録 という部分を紹介しました。

 今回はそれに続く<1-3>原子力発電所事故の発生 という部分です。


↓ここからが、伝承館内に掲示されている「文章」の紹介です。

<1-3 原子力発電所事故の発生>

地震発生から約50分後、津波が福島第一原子力発電所を襲い、これにより、発電所は1号機から5号機までの全交流電源を喪失。この事態を受け、当時の福島第一原発の所長は、原子力災害対策特別措置法に基づき通報を行いました。電源を喪失したことにより、原子炉を冷却できなくなっただけでなく、中央制御室での計装による監視、制御といった中央制御機能、発電所内の照明、通信手段も一挙に失われました。真っ暗な発電所の中では、原子炉の状態を確認することすら困難を極める作業となったのです。

●過去に起こった原子力関連事故

2020年現在、世界には442基の運転中の原子炉があります。原発をはじめ、放射性物質を扱う原子力施設では、さまざまな安全対策がとられていますが、それでも、過去に何度も事故が起こりました。原発などで事故が発生した場合、国際原子力事象評価尺度(INES)による影響度の指標が「レベル0」から「レベル7」までの8段階の数値で公表されます。福島第一原発事故はチェルノブイリ原発事故に並び、最も深刻なレベル7と暫定評価されました。

※事故発生以来の放射性物質の総放出量で比較すると、現時点で福島第一原発事故はチェルノブイリ原発事故の約10分の1

・チェルノブイリ原子力発電所事故

(1986年4月26日/ウクライナ・ソビエト社会主義共和国)

ウクライナのチェルノブイリで起こった20世紀最悪の原発事故。国際原子力事象評価尺度(INES)のレベルは7.原子炉の安全設計上の問題のほかに、運転員の規則違反や、運転管理上の問題などが重なって大事故に至りました。今も原発から30km圏内は立ち入り禁止区域となっています。

・スリーマイル島原子力発電所事故

(1979年3月28日/アメリカ合衆国)

ペンシルバニア州のスリーマイル島に建設された原発で冷却システムが停止したことに起因して発生した重大な原発事故。INESのレベルは5。燃料棒の炉心溶融(メルトダウン)および崩壊が起こったが、程なく給水システムが復旧したことで大爆発には至らず収束しました。

・東海村JCOウラン加工工場臨界事故

(1999年9月30日/日本)

JCOの核燃料加工施設が起こした臨界事故で、INESのレベルは4。施設内で、核燃料を加工中にウラン溶液が臨界状態に達し、核分裂連鎖反応が発生、この状態が約20時間持続しました。事故の原因はJCOのずさんな作業工程管理にあり、この事故により作業員2名が死亡。国内で初めて事故被ばくによる死亡者を出しました。

●5重の壁

沸騰水型原子炉の構造と放射性物質を閉じ込める5重の壁

 第1の壁 ペレット ウラン燃料を陶器のように焼き固めたもの

 第2の壁 被覆管  丈夫な合金(ジルカロイ)の筒

 第3の壁 原子炉圧力容器 高い圧力に耐えることができる鋼鉄製の容器

              燃料・水・放射性物質を閉じ込める

 第4の壁 原子炉格納容器 鋼鉄製の容器

 第5の壁 原子炉建屋 コンクリートの壁

<1-3>原子力発電所事故の発生のエリアにおける展示文章は以上です。


以下のフォームよりご意見をお寄せください。必要事項を明記し、紺色の「送信」ボタンで投稿完了です。

※フォームでの送信がうまくいかない場合や長い論考などはuneriunera@gmail.comへお願いします。コメント欄などもお気軽にご活用ください。

次回は災害対策本部の状況について説明する展示文章を掲載します。

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