4月16日付の記事に関連して少しだけ書きます。
きょう書きたいのは、日本政府と東電が福島第一原発から放出しようとしている液体を世界各国が何と呼んでいるか、という問題です。
※トップ画像は4月13日に福島県いわき市内で行われた海洋放出反対スタンディングの様子(牧内昇平撮影)。
日本政府は「ALPS処理水」(ALPS treated water)と呼ばせようとしており、多くの国内メディアがそれに従っていると思います。海洋放出に対して勧告を出した各国はどう呼んでいるでしょうか? まとめてみました。
国名 | 呼び名 | ウネリウネラの直訳 |
中国 | nuclear-contaminated water | 核汚染水 |
マーシャル諸島 | radioactive wastewater | 放射性廃水 |
フィジー | radioactive waste water | 放射性廃水 |
東ティモール | nuclear waste water | 核廃水 |
サモア | radioactive wastewater | 放射性廃水 |
バヌアツ | nuclear contaminated wastewater | 核汚染水 |
勧告を出した国々は「汚染水」と認識している
contaminated waterは「汚染水」そのものです。radioactive wastewaterも「放射性物質を含む廃水」ということで、言葉の意味するところは日本政府が言う「ALPS処理水」よりも、「汚染水」のほうに近いでしょう。
勧告を出した国々は、当然日本政府の主張、説明を聞いています。聞いた上で、「ALPSで処理したとしても、これは汚染水だ」「放射性物質を含む廃水だ」と判断しているわけです。ここは注目に値すると思います。
「放出」よりも「投棄」と認識している国も
さらには「動詞」の部分です。日本政府は「ALPS処理水を海洋放出する」と言いますが、勧告を出した国々が使っている動詞は二つあります。
“discharge radioactive wastewater into the Pacific ocean”
“the dumping of nuclear waste water”
discharge の意味を辞書で調べると「吐き出す、排出する、放出する」。日本政府の「海洋放出」に近い意味だと思います。しかしdumpは「(積み荷を)どさっと落とす、(ごみなどを)捨てる」。かなりニュアンスがちがいます。「放出」よりも「投棄」ですね。
日本政府は、国内ではテレビCMを流すなどして「ALPS処理水」という言葉を浸透させようとしています。しかし少なくとも一部の国々はこうした認識だということは知っておいていいと思います。
皆さまのご意見を募集します
海洋放出問題について、皆さまのご意見を募集します。長いものも短いものも、海洋放出を支持する意見も反対する意見も、なんでも歓迎です。お待ちしております。
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