「きれいな海を」「約束できない」海洋放出めぐり東電が問題発言

報道

 福島第一原発敷地内のタンクにたまる汚染水の海洋放出について、市民たちが反対の声を上げています。熱心に活動を続けているのが、市民グループ「これ以上海を汚すな!市民会議」です。

 市民会議の人びとは今年5月13日、東電の担当者と都内で話し合いを行ったのですが、メディア非公開の話し合いの最中に東電側から問題発言があったと言います。双方への取材を進め、7月22日発売の週刊金曜日に記事を書きました。インターネットに公開されていますので、関心ある方はぜひお読みください。

汚染水海洋放出めぐり東電がきれいな海を「約束できない」発言? | 週刊金曜日オンライン (kinyobi.co.jp)

 今回の記事は短いものですが、たくさんの方々に協力していただきました。なにしろメディア非公開の場でのやりとりなので、慎重な確認作業が必要でした。取材に協力してくださった皆さまに御礼申し上げます。

 私が注目したのは、このような会話がメディア非公開の場で行われていたことです。5月13日の話し合いの冒頭、市民会議のメンバーは東電に対して、海洋放出のための工事を進めないように求める要請書を渡しました。この時点まではメディアも同席しています。たとえば、東京新聞が写真付きで記事にしています。

原発処理水の海洋放出に向けた工事中止を要請 福島の市民団体が東京電力に 「さらなる負担と苦悩を強いる」:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

この後、メディアは退室したようです。新聞記事の写真を見る限り、東電側担当者は要請書を丁寧に受け取っています。しかし、その後の話し合いでは「丁寧」とはほど遠い対応が続いたと、私は判断しています。

※ちなみに私は、5月13日の会合を直接取材していません。市民会議のメンバーは12日後の5月25日に、福島にある東電の事務所でも要請書を提出しており、その際は同行しました。この時も東電の担当者は、要請書を受け取った直後に「メディアの方はご退出ください」と言いました。私は、市民会議側はメディアの同席に賛成しており、非公開は東電側の意思によるものであることを確認し、退出しました。

 週刊金曜日の記事中には、市民会議の共同代表の一人、織田千代さんのコメントを紹介しました。文字数の関係上、短くせざるを得ませんでした。ここで、いただいたコメントの全文を紹介したいと思います。

織田千代さんのコメント
東電は、原発事故を起こした企業として、責任を感じているとは思えない。
市民、住民からの声に、言い逃れ、その場しのぎの発言は山のように用意されているようだが、どれも心のこもらないものばかりだ。事故を経験し、大変な思いをしながらここまできている人たちに真摯に向き合おうとはしていない。
処理しきれてもいないのに、処理水、と呼ぶことを始め、平気で嘘を言っているにも関わらず、頑固にその姿勢を変えようとしていない。原発事故由来の汚染水であることを、わからないようにする事にばかり一生懸命になっている。(私に言わせれば、逆方向の努力、お金の無駄遣いだ。)それは、政府の原発政策が後ろ盾にになっているという、強気がそうさせているのだろうと思う。
アクションするたびに、東電、その背後にいる国も、自治体も、信じたいのに信じられない状態なのだということを見せつけられる。市民と直接向き合う場であんなことを平気で言えるなんて気がしれない、というのが実感で、信頼性は地に落ちているとしか言えない。
一体私たちの声はどこへ行ってしまうのか、という気持ちに負けそうになるけれど、まだ絶望感を抱いている暇はない、という気もしている。
私たち、市民の声は、人々の命や健康、子どもの未来を守りたい、というような、根源的な願いからこれ以上放射能の影響を広げないで、と言っているのであり、同じ方向性でその努力をしてもらえるまで、声を出し続けるしかない。

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