「汚染水を海に流さないで‼」福島でスタンディング

 原発事故による汚染水(国や東電は「ALPS処理水」と言っている)の海洋放出に反対する市民グループが25日、福島県庁と東電福島復興本社に申し入れを行った。海の生き物たちを描いたブルーの旗をかかげて福島市内の街頭に立った。県内自治体の約7割が反対や慎重な判断を求めている中で、国・東電は海洋放出に突き進んでしまうのか?(ウネリウネラ・牧内昇平)


現実味を増す海洋放出

 申し入れを行ったのは市民団体「これ以上海を汚すな!市民会議」だ。

 汚染水の海洋放出については、国の原子力規制委員会が今月18日、東電の出していた「海洋放出計画」について「安全性に問題はない」という結論を下した。今後は6月17日までパブリックコメントを募集した後で、7月にも東電の計画を正式に認可する見通しだ。規制委の認可が下り、福島県など地元自治体が「事前了解」に同意すれば、いよいよ東電は海洋放出に必要な海底トンネルの本格工事を始める。

 来春からの海洋放出が現実味を増してくる。

 この状況を受けて、市民会議は福島県知事と東電ホールディングス社長に対して要請書を渡した。主な要請項目をまとめると以下のようになる。


◆地元の理解と合意について

東電へ:福島第一原発事故および汚染水発生の原点に立ち返り、「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」とする政府の福島県漁連等との文書約束を守り、理解と合意のない汚染水海洋放出設備工事の本格着工は中止すること。
福島県へ:上の約束が守られない以上、海洋放出の事前了解には同意しないこと。

◆情報公開と放射線影響評価について

東電へ:放出する全放射性核種の濃度、総量などの全情報を公開すること。
福島県へ:放射線影響評価と安全確認の徹底を求めること。

◆汚染水対策について

東電へ:地下水の止水、トリチウム分離技術の実用化、大型タンク長期保管案など、汚染水についての抜本対策を早急に確立すること。
福島県へ:政府と東電に対し、汚染水対策の確立を求めること。

◆公聴会の開催について

東電へ:福島県内はじめ全国で本件の説明・公聴会を開催すること。
福島県へ:政府と東電に対し、説明・公聴会の開催を求めること。

東電福島復興本社前でスタンディングを行う市民たち=5月25日、福島市内、牧内昇平撮影

市民の声は届くのか?

「今後の本格工事の開始は、ひとえに福島県など自治体の同意にかかっております」

 福島県庁3階の会議室。集まった大勢の市民が見つめるなか、「これ以上海を汚すな!市民会議」共同代表、織田千代さんが県知事宛ての要請書を読み上げた。

 要請書の提出後、福島県庁では市民たちと福島県原子力安全対策課の担当者が話し合いを行った。 最初に要請書を読み上げた織田さんはいわき市に住む。今の気持ちを切々と語った。

「原発事故が起きてからいろんな目に遭ってきて、数え切れないほどの苦労があるんです。それをまた、上塗りするかのように、海に放射性物質を流す。それをいいかって、聞かれている状況なんですよ。福島県は県民の命と未来を守ってください。どうぞ、よろしくお願いします」

 同じく市民会議共同代表の一人、佐藤和良さんが落ち着いた口調で原子力安全対策課長に語りかける。

「汚染水についての情報が未だに十分開示されていないのではないか。放出される全放射性核種についての定量的な確認はなされていない。一体いかなるものが、私たちの海に放出されるのか。それが分からないまま、同意するということにはなりません」

 原子力安全対策課長は、こう答える。

「『約束』についてですが、経済産業大臣も守るんだと言っていますけれども、確実に実行されるように県も求めて参ります」

「汚染水の発生量そのものをゼロに近づけていくことを国と東電に検討を求めています」

「公聴会ですが、我々としても県民への説明の機会を国・東電に求めていきます」

 字面だけを見れば、課長の回答は市民たちの要請に応じているかのように見える。しかし、これがあくまで通り一遍、表面的な回答であることを市民たちは見抜いている。

「今、答えていただきましたが、今までもずっと同じ答えなんです。福島県としては具体的に何を国・東電に求めているんですか。曖昧な回答で許される段階ではありません」

「公聴会は今まで、ホテルとか事業者の人たちが委員に選ばれていた。県が自分たちの都合のいい人たちを選びましたよね。でも、私たちのような市民の会とかもあるんですよね。本当に開かれた公聴会をやってほしいと思います」

「東電はすでに工事(事前了解の必要ない事前工事)を着工していますよね。福島県は傍観しているのですか?」

 市民たちは真剣な思いをぶつけた。それが福島県庁に届いたのか、どうか。

 話し合いの最後に、原子力安全対策課長はこう述べた。

「皆様のご不安と懸念は十分に受け止めました。知事にもしっかり伝えたいと思います」

福島県知事宛ての要請書を読み上げる「これ以上海を汚すな!市民会議」の織田千代さん=5月25日、福島市内、牧内昇平撮影

 この日のことはまた改めて書きたいと思っている。

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