【妄言】「ライドシェア」は改名すべき 

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「ライドシェア」なるものが日本で始まろうとしています。インターネットで検索すれば、賛否両論いろいろ出てくるでしょう。ここで書きたいのは「ライドシェア」というネーミングについてです。

【ライドシェアとは】

【ライドシェアとは】
タクシーやバスの運転手のように「第二種運転免許」を持たない一般のドライバーが自家用車を使って乗客を運び、料金をもらうビジネスのこと。現在は過疎地の一部を除いて「白タク行為」として禁止されているが、タクシー不足が深刻化しているのを受け、岸田文雄首相は10月23日の所信表明演説で「ライドシェア解禁」を検討すると表明した。

10月25日付弁護士ドットコムニュース(執筆は牧内昇平)

ついこの間「検討開始」を表明したばかりですが、政府は今月20日、「来年4月から始める」と発表しました。

タクシー事業者が運送主体となり、地域の自家用車・ドライバーを活用し、アプリによる配車とタクシー運賃の収受が可能な運送サービスを 2024 年4月から提供する。

政府「デジタル行財政改革会議」中間とりまとめ

もう一つ大事なのは、政府のペーパー(デジタル行財政改革会議「中間とりまとめ」)の中に以下の文言が入っていることでしょう。

タクシー事業者以外の者がライドシェア事業を行うことを位置付ける法律制度について、2024 年6月に向けて議論を進めていく。

同上

ライドシェアは配車アプリを通じて乗客と運転手をつなぎます。このアプリを使いこなして差配する業者を「プラットフォーム企業」と呼びます。

米国などでは「ウーバー・テクノロジーズ」という会社がこの「差配業者」をやっています。日本でも料理の配達で有名な「ウーバー」です。

「アリの一穴」という言葉があります。政府のペーパーを読むと、”はじめは既存のタクシー会社を使ってスタートさせて、後から専門の差配業者が大きく広げていく”というレールが敷かれていることに気づきます。

「ライドシェア」というネーミング

ライドシェア。カタカナ語で、なんとなくカッコいいイメージはありませんか? 一度聞けば覚えてしまうキャッチ―さもあります。

でも、考えてみれば、私には今ひとつ言葉の意味が分かりません。 誰が、何を、シェア(共有)するのでしょうか? この点を考えてみたいと思います。

何を「シェアする」のか?

「カーシェア」や「シェアサイクル」というものがあります。利用者が他人の車や自転車を借りて運転する(利用者同士でシェアする)というサービスです。

しかし、ライドシェアは車を借りて運転するわけではありません。車を運転するのはあくまでライドシェア運転手(二種免許を持たない一般ドライバー)です。

そうすると、利用者同士がシェアするのは「ドライバー」ということになると思います。

「シェアする」の意味は?

世の中には「シェアハウス」というものもあります。家族以外の利用者同士がひとつの家を共同で使用することを指します。

「シェア」という言葉には、なんとなく「経済的」「効率がいい」「楽しい」など、いいイメージが与えられているように思います。

しかし、ライドシェア(あるいは私流に言えばドライバーシェア)は、利用者同士が「共有する」「共同で使用する」という感じではありません。「共有する」よりも、「必要な時だけ使う」「便利使い」という感じのほうが近いと思います。

「ドライバー便利使い」と呼ぶべきでは?

政府が来年4月から解禁しようとしているものの本質を指すとしたら、「ライドシェア」という言葉よりも「ドライバー便利使い」という言葉の方が適切なのではないかと私は思っています。

一般の人を「必要な時だけ」ドライバーとして使う。つまり、「需要と供給のギャップを埋める調整弁にしよう」ということでしょう。

こういう「調整弁」にされてきた人たちとして有名なのが、「派遣社員」など非正規労働者です。仕事が多い期間だけ会社に呼び、仕事が少なくなったら会社を去ってもらう。働かせる側(企業)からすれば、非正規労働者はとても便利な、使い勝手のいい存在です。

ただし、派遣社員をはじめとした非正規労働者の働き方は不安定であるとして、これまで問題にされてきました。「ハケン切り」という言葉がユーキャン流行語大賞のトップテンに入ったこともあります。今回のライドシェア(私的に言えば「ドライバー便利使い」)も、こうした不安定な働き手を増やす流れの一環であることには気づいておくべきだと思います。

「ライドシェア」という得体の知れない言葉が、ことの本質を分かりにくくしています。今検討している制度を「ドライバー便利使い」制度と呼んだ上で、メリット・デメリットを話し合ってみたらどうでしょうか。

この話題を扱う報道で、「利用者目線で議論を」などと書いていることがしばしばあります。「利用者目線」は当たり前であり、何も言っていないに等しいと思います。今必要なのは、この問題を「働き手目線」というアングルで見ることだと思います。

(文・図/牧内昇平)

※ライドシェアの問題点を知りたい方は以下の記事をご参照ください。
「ライドシェアは結局、儲かる都会に流れてくる」交通環境の悪化に懸念の声 都内で反対集会(2023年10月25日付弁護士ドットコムニュース)

※写真は無料画像サイトpexelsから転載しました。

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