伝承館は何を伝承するのか~今春以降の「変化」について②(展示の中身編)

 昨年9月、福島県内に「東日本大震災・原子力災害伝承館」(伝承館)という施設がオープンしました。この施設については議論が必要だなと思ったウネリウネラは、本サイトで「伝承館は何を『伝承』するのか」という企画を始めました。(企画の狙いについては昨年の記事「企画のはじめに」をお読みください。)

 ウネリウネラの伝承館ウォッチは今も続いています。今年は4月上旬と7月末に見てきました。昨年のオープン時から変わった点を2回に分けて書きます。今回は、春以降に新しく加わった展示を紹介します。

※本記事では、変更点に絞って伝えます。展示内容の全体を知りたい方はぜひ、昨年末に公開した「展示内容の記録①~⑨」を合わせて読んでください。(サイドバーの「伝承館」バナーから関連する過去記事を読めます。)


抜本的な変化はありません

 「基本的にはそれほど変わっていない」ということを、まず言わなければなりません。チケットを買ってすぐのところにある1階ホールでは、俳優の西田敏行氏のナレーションが入るオープニング映像が流れます。これに変更はありません。

 2階の展示室は、①【災害の始まり】②【原子力発電所事故直後の対応】③【県民の想い】④【長期化する原子力災害の影響】⑤【復興への挑戦】という五部構成になっています。これも変化なし。中の展示物もそれほど入れ替わっていません。

 一方で、明らかに変化したのは、展示エリアの大事なところにいくつか、新しい解説パネルが加わったことです。主なものを紹介します。


新たに加わった解説パネル①「原発安全神話」

 展示エリア①【災害の始まり】の中に、<1-3原子力発電所事故の発生>というコーナーがあります。チェルノブイリなど過去に起きた原発事故の紹介や 原発の「5重の壁」を説明する展示パネルの横に、新たなパネルが立ちました。内容は以下です。

【安全神話の崩壊~対策を怠った人災】
今回の原発事故に関して「想定外」という言葉が度々聞かれました。東京電力や規制当局による津波等への備えが不十分だったことは、各事故調報告書からも明らかであり、このような事故を二度と起こしてはなりません。
東京電力の事故調報告書の中でも、「想定した事故対応の前提を大きく外れる事態となり、これまでの安全への取り組みだけでは事故の拡大を防止することができなかった。」と記されています。しかし、政府の事故調報告書は、「東京電力を含む電力事業者も国も、我が国の原子力発電所では深刻なシビアアクシデントは起こり得ないという安全神話にとらわれていたがゆえに、危機を身近で起こり得る現実のものと捉えられなくなっていたことに根源的な問題があると思われる。」と指摘します。また、国会の事故調報告書は、「福島第一原発は40年以上前の地震学に基づいて建設された。その後の研究の進歩によって、建設時の想定を超える津波が起きる可能性が高いことや、その場合すぐに炉心損傷に至る脆弱性を持つことが、繰り返し指摘されていた。しかし、東電はこの危険性を軽視し、安全裕度のない不十分な対策にとどめていた。」、「東電及び保安院は、勉強会等を通じて、土木部学会評価を上回る津波が到来した場合には全電源喪失に至ること、敷地高さを超える津波が到来する可能性が十分低いとする根拠がないことを認識していた。東電と保安院にとって、今回の事故は決して『想定外』とはいえず、対策の不備について責任を免れることはできない。』と指摘し、「何度も事前に対策を立てるチャンスがあったことに鑑みれば、今回の事故は『自然災害』ではなくあきらかに『人災』である」との考えを示しています。

伝承館の展示パネルより

これまではなかった指摘です。


新たに加わった解説パネル②「第二原発の状況」

 「安全神話の崩壊」を伝えるパネルの近くには、福島第二原発も危機に瀕していたことを伝えるパネルができました。

【大惨事をまぬがれた第二原発 ~ケーブルが繋いだ一縷の望み】
「600Vケーブル」
福島第一原子力発電所が危機に見舞われていた頃、福島第二原発でも、原子炉が危機的状況に陥っていました。地震後の津波により、3号機以外は原子炉除熱のためのポンプが被水し使用不能となりました。しかし、構内へ電源を供給していた外部電源4回線のうち1回線からの受電が継続していたことから、当時の福島第二原発の所長は、廃棄物処理建屋から冷却装置のある海水熱交換器建屋までをケーブルでつなぐ指示を出しました。重さ1mあたり5㎏、最長800m、総延長9㎞の仮設ケーブル敷設を総勢200名、30時間をかけて取り組みました。ケーブルが繋がり、冷却機能が復旧したのは、状況が最もひっ迫していた1号機のベント措置を行うまでのリミットの2時間前でした。

伝承館の展示パネルより

新たに加わった解説パネル③「SPEEDI」

 同じく展示エリア①【災害の始まり】の中の、<1-4 災害対策本部の記録>のコーナーです。 多方面から踏み込み不足と指摘されてきた「SPEEDIの取り扱い」については、【補助解説】というパネルが加わりました。数枚のフリップを手でめくる形式です。

【補助解説 SPEEDI】
「避難に活用できなかったSPEEDI」(1枚目)
仮の値を用いたSPEEDIの計算結果について、国会の事故調報告書では、「SPEEDIの予測計算の結果も、その正確性は高いとは言いがたく、特に、ERSSによる放出源情報が得られない場合には、それのみをもって、初動における避難区域の設定の根拠とすることができるほどの正確性を持つものではない。」として『使えなかった』との見解を示す一方、政府の事故調報告書では、「放出源情報が得られない状態でも、SPEEDIにより単位量放出を仮定した予測結果を得ることは可能であり、現に得ていたのであるから、仮に単位量放出予測の情報が提供されていれば、各地方自治体及び住民は、より適切な避難経路や避難の方向を選ぶことができた可能性があったと言えよう。」と指摘し、『使えた』との判断を示しています。
当時の活用可否について意見が分かれているものの、どちらの事故調報告書も、事故前の原子力災害対策の不備が事故対応の失敗を招いたとの見解を示しています。
※図:3月15日9時から翌16日7時までの定時計算結果(抜粋)
 図につく説明
政府の事故調報告書では、「3月15日の指示は屋内退避であったが、南相馬市は、同日以降、希望者に対して市外への避難誘導を実施し、多くの住民は飯舘・川俣方面に避難した。また、浪江町は、同日朝方、既に、町長の判断で二本松市へ避難することを決めており、住民に伝達した上で避難を実施した。これらの自治体の住民のうち、同日夕刻(15時頃)以降に避難を開始した者は、放射性物質が飛散した方向と避難経路が重なった可能性がある。」との見解が示されています。

「福島県におけるSPEEDIの予測計算結果の取り扱い」(2枚目)
SPEEDIによる予測計算の結果は、本来、県災害対策本部が単独でこれらの情報を入手し、防護対策の検討に活用するものではありませんでしたが、3月12日以降、県災害対策本部にも電子メールで送信されていました。同本部においても、予測計算の結果を組織的に活用するという意識が薄く、受信した合計86通の電子メールのうち65通を、組織内で情報共有しないまま削除しました。

伝承館の展示パネルより

 原発事故直後、福島県の災害対策本部はSPEEDIによる予測計算の結果を伝える電子メールを受け取っていたにもかかわらず、そのメールの大半を勝手に削除していました。新たに加わった展示パネルは、そのことを(それほど目立つ扱いではありませんが、)伝えています。

手でめくるタイプなので多くの人の目に触れるかという心配はあります。

新たに加わった解説パネル④「双葉病院」

 展示エリア② 【原子力発電所事故直後の対応】に移ります。住民たちの避難生活を伝える展示としては、以下のパネルが目をひきました。

【特有の避難状況 度重なる避難が引き起こした震災関連死】
「双葉病院患者の過酷な避難」
3月12日、原発の状況を踏まえ、周辺地域には避難指示が出され、寝たきりの患者等の避難には困難が伴いました。第一原発から4㎞余り離れた大熊町の双葉病院でも、移送が困難な患者の救助が遅れ、さらに長時間のバスでの移送に伴い体力を奪われて、3月末までに40人の患者がバスの中や避難先で死亡しました。座ったまま亡くなっている人や座席の下に転げ落ちている人もいた、という証言もあり、当時の悲惨な状況が読み取れます。
※写真説明 2011年4月5日(双葉病院)
避難バスは、避難指示が出ている地域を避けるため、大きく迂回。受け入れ先もなかなか決まらず、普段なら1時間程度で到着する避難先にたどりつくまで、およそ半日もかかった。

伝承館の展示パネルより

新たに加わった解説パネル⑤「震災関連死」

 双葉病院の悲劇的状況を伝えるパネルの下に、こんな解説もありました。

震災関連死とは
地震や津波等による直接的な被害ではなく、その後の避難生活を続ける中で、体調の悪化等により亡くなり、それが震災と関連があると認められたケースを「震災関連死」と呼び、直接死の人数を大きく上回っています。主な要因として、病院等の機能停止による初期治療の遅れ、避難の移動中や避難所生活等における心身の疲労などがあります。避難生活は現在も続いており、震災関連死の死者数は増え続けています。

「事故調報告書の指摘」
国会の事故調報告書は「通信手段が限られ、十分な情報も入手できない状況の中、入院患者の避難は困難を極め、避難の過程で病状が悪化、又は死亡する事例が続出した。これらの病院の入院患者や医療関係者は、いずれも避難の過程において多大な負担を強いられた。特に身体への負担が軽い交通手段や早期に医療設備がある避難先を確保できなかった病院に入院していた重篤患者は、深刻な事態に陥った。こうした事態をもたらした要因は、広範な避難区域設定を伴う大規模な原子力災害を想定していなかった地方自治体及び医療機関の防災計画の不備にあったと言わざるを得ない。」と指摘しています。引用:東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)報告書

伝承館の展示パネルより

 オープン当初は、「震災関連死とは災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき……」と堅苦しい説明に終始していましたが、少し変わりました。


新たに加わった解説パネル⑥「安定ヨウ素剤」

 同じく展示エリア② 【原子力発電所事故直後の対応】に新しく加わったのは、”安定ヨウ素剤配布”問題についての記述です。

「放射線への対応」
安定ヨウ素剤は大気中の放射性ヨウ素濃度の条件により服用します。甲状腺への放射性ヨウ素の影響を低減する効果があります。しかし、福島第一原発事故では、原子力災害対策本部及び福島県知事からヨウ素剤の服用に適当だと考えられる時間内に服用指示が出されなかったため、住民対応に追われた市町村は、ヨウ素剤を服用又は配布した自治体と配布せず指示を待った自治体に分かれました。(出典:国会事故調報告書)

伝承館の展示パネルより

新たに加わった解説パネル⑦「自主避難者」

 展示エリア③【県民の想い】です。政府による避難指示が出なかった地域の人びとの中には、いわゆる「自主避難」の道を選んだ人たちがいます。今も県外などでの避難生活が続いている人たちもいます。その人たちについて、以下のようなパネルができました。

【自主避難者の苦悩】
原発事故発生直後、避難指示区域外においても、放射線への不安から自主的に避難する方が多数に上りました。特に、子どもに対する放射線の影響を心配し、父親等の家族とは離れて、子どもと母親のみが避難した世帯も多く、こうした方々は経済的、精神的につらい思いを抱えながら、その後の避難生活を送りました。

証言インタビュー抜粋
「いざ(自主避難先へ)移動してみると本当に孤独で… うつ傾向になっていくお母さんたちっていうのが結構いらっしゃって… これは何とかしなくちゃいけない… 福島っていうワードでつながりたいという思いが強かった」

伝承館の展示パネルより

 これで十分と言えるかは全く別問題ですが、オープン当初はもっとあっさりした言及しかありませんでした。避難時の住宅手続き資料と共に掲示されていた文章はこれだけでした。

・避難指示区域以外の住民の対応
この資料は、福島市の夫婦と2人の子どもがいる家庭で、北海道に母親と子どもで避難をした際の住宅手続きに関わる資料です。父親は仕事の都合で福島市に独りで残り、二重生活となりました。このように避難指示区域外では、避難した人、残った人、それぞれに苦悩や葛藤がありました。

伝承館の展示パネルより

少しだけ肉付けされた気がします。


新たに加わった解説パネル⑧「除染・避難生活・風評・健康影響」

 展示エリア④【長期化する原子力災害の影響】は、先ほどSPEEDIのところで紹介した「フリップ式の解説パネル」が多用されています。長いですが、すべて紹介します。

【補助解説 除染】
「仮置場等での保管」
除染土壌等は、仮置場や現場保管場所等において保管されます。保管に当たっては、放射性物質による人の健康や環境への影響を低減させるため、遮へい等の措置を講じながら適切に管理していますが、保管場所の確保等さまざまな課題がありました。
「農林地の除染」※主に写真
「被災家屋等の解体」
国では、原発事故で避難指示が出された自治体を対象に、住民の意向を受けて住宅の屋根や外壁などに付いた放射性物質を取り除く「除染」の他、一定程度の損傷を受けた住宅を「解体」する事業を行っています。町の半数以上が解体されたところもあり、原発事故前のふるさとの風景は大きく変化しています。

伝承館の展示パネルより

【補助解説 長期避難への対応】
「いじめ」
被災者への「いじめ事案」が県内外で発生し、長期避難により心を痛める中、さらに苦しめられる被災者もいました。
「東日本大震災で起きた人権問題に関する中学生の作文」
大玉村人権作文コンテスト平成28年度入賞作品(東日本大震災で起きた人権問題 大玉中学校1年 ●●●●)
※文章は省略
「長期化する避難に伴う諸問題 住民説明会」
国と各市町村は、区域の見直しや避難指示解除等について、県内外の会場でたびたび住民説明会を開催してきました。避難指示が継続している地域、解除された地域それぞれに課題が山積している中、住民からはさまざまな意見が出ました。
「長期化する避難に伴う諸問題 住民意向調査」
※グラフのみ。居住地に「すでに戻っている」「戻りたいと考えている」「まだ判断がつかない」「戻らないと決めている」などの意向を調査した結果。

伝承館の展示パネルより
避難者の「一時帰宅」に関する展示も加わっていました。

【補助解説 風評の払拭】
「風評払拭の土台となる取り組み ~徹底した安全・安心の確保」
2011年3月19日より県産農林水産物の緊急時モニタリング(放射性物質等の分析)の実施を開始しました。県及び全市町村の公共施設等では、自家消費野菜等の検査を無料で実施しています。また、県消費生活センター及び希望する市町村では非破壊式測定器を導入しています。検査結果について検査を実施した県及び市町村はホームページや広報誌等を活用して公表を行っています。
「県産品の風評払拭・販路拡大に向けた取り組み」
原発事故後、県産品の取引中止や価格の大幅な下落など風評による影響があり、それはいまだに払拭されていません。このため、農林水産物をはじめとした県産品の販路回復や正確な情報発信による風評の払拭と合わせて、「ふくしま」ならではのブランドの構築によりさらなる魅力強化に取り組んでいます。
●新たな販路、販売棚の確保に向けた流通販売対策の強化の取り組み事例
・「ふくしまプライド。」フェアやオンラインストアよる県産農産物の販売促進
・テレビCM等各種メディアの活用やトップセールス等での正確な情報と魅力の発信
●福島ならではのブランドの構築と更なる輸出拡大の取り組み事例
・全国新種鑑評会金賞受賞数7年連続日本一(新記録)達成
・「ふくしまデザインコンペティション」の実施や6次化商品ブランド「ふくしま満天堂」の取り扱い店拡大等による販売促進
・東南アジアでの販路拡大や輸入規制解除に向けた国との連携した働きかけと安全性や品質の積極的な発信
「観光誘致の取り組み」
食や歴史、豊かな自然など、従来からの福島の魅力に加え、「ホープツーリズム」を柱とした、福島ならではのプログラムを組み込んだツアーで、国内外の観光誘致に取り組んでいます。
ホープツーリズム「自分自身を成長させる学びの旅」
ホープツーリズムとは、福島の「ありのままの姿(光と影)」と前例のない困難な状況の中でも「復興に向け挑戦する人々」からのインプット、自分の目や耳で見聞きした福島の状況を踏まえ「震災・原子力発電所事故の教訓を未来にどう活かすか」を考えるアウトプットで構成された、福島ならではの新しい教育旅行プログラムです。

伝承館の展示パネルより

【補助解説 健康に関する取り組み】
「福島の子どもたちを元気に」
原発事故後、放射線による被ばくの心配から県内の子どもたちは外で遊べず、体力は落ち、肥満傾向の子も増えました。この状況を踏まえ、子どもたちが思いきり体を動かし遊べる場所として、各地に屋内遊び場がつくられました。「県民健康調査 基本調査」
・現在の外部被ばく線量推計
調査に回答いただいた人から放射線業務従事経験者を除いた、約46万6千人の外部被ばく推計の結果では、99.8%の人が5m㏜(ミリシーベルト)未満、最大値は25m㏜でした。
・結果の評価
この結果については、これまでの疫学調査により、100m㏜以下での明らかな健康影響が確認されていないことから、4か月間の外部被ばく線量推計値ではありますが、放射線による健康影響があるとは考えにくいと評価されています。
「県民健康調査 甲状腺検査」
・先行検査結果に対する見解
2011年10月に開始した先行検査の結果について、福島県「県民健康調査」検討委員会では、以下のとおり評価しています。↓引用
県民健康調査における中間とりまとめ(2016年3月福島県「県民健康調査」検討委員会)から一部抜粋
これまでに発見された甲状腺がんについては、被ばく線量がチェルノブイリ事故と比べて総じて小さいこと、被ばくからがん発見までの期間が概ね1年から4年と短いこと、事故当時5歳以下からの発見はないこと、地域別の発見率に大きな差がないことから、総合的に判断して放射線の影響とは考えにくいと評価する。但し、放射線の影響の可能性は小さいとはいえ現段階ではまだ完全には否定できず、影響評価のためには長期にわたる情報の集積が不可欠であるため、検査を受けることによる不利益についても丁寧に説明しながら、今後も甲状腺検査を継続していくべきである。
・本格検査(検査2回目)結果に対する見解
2019年6月、福島県「県民健康調査」検討委員会の下に設置された甲状腺検査評価部会において以下のようにとりまとめられ、同年7月の検討委員会で了承されました。「現段階において、本格検査(検査2回目)に発見された甲状腺がんと放射線被ばくの間の関連は認められない」
根拠一部抜粋
国連科学委員会(UNSCEAR)が出している甲状腺吸収線量の推計値と甲状腺がん発見率との関連を解析した結果、線量の増加に応じて発見率が上昇するといった一貫した関係(線量・効果関係)は認められない。
超音波検査等の結果での甲状腺がん疑いの発見率は、事故時等の年齢が高いほど高く、チェルノブイリ事故後に甲状腺がんが多く発見された年齢層(主に低年齢のこども)と異なる。
「県民健康調査 こころの健康度・生活習慣に関する調査」
子どものこころの健康度
支援が必要と考えられる子どもの割合は、2011年度はどの年代でも高く、とりわけ4歳~6歳は24.4%と高い値となりました。その後どの年代においても減少しましたが、最近ではむしろ小・中学生など就学児童のほうが高い傾向にあります。
「県民健康調査 妊産婦に関する検査」
早産率・低出生体重児率・先行奇形率
2011~2017年度調査の結果では、各年度とも政府統計や一般的に報告されているデータとの差はほとんどありませんでした。

伝承館の展示パネルより

 注目すべきはやはり、甲状腺検査の結果を伝えているか、でしょう。上に紹介した「フリップ式の解説パネル」には、「甲状腺がんと放射線被ばくの間の関連は認められない」という結論しか紹介されていません。検査によって腫瘍が見つかった人の数、悪性と診断され摘出手術を行った人の数は、パネルには書いてありませんでした。

(後で確認したところ、解説パネルの隣にあるタッチパネル式のモニター画面を操作していくと、検査結果が出るようです。しかし、重要な情報があまりにも”深い”ところに潜らされている印象です……。)


結論:みなさんのご意見が伝承館を少し変えたと思います

 以上、長々とすみません。新しく加わった展示パネルを紹介しました。ここまで書いて気づくのは、「変わった点」の多くがこれまで本企画で読者のみなさんが指摘してきた点と一致する、ということです。

 SPEEDI問題への無責任さは、12月30日付「みなさんの声③」で福島県内の高校教員、渡部純さんから指摘してもらっていました。安定ヨウ素剤の問題については、岩手県在住の鈴木太緒さんが1月13日付「みなさんの声⑧」で書いてくれました。「自主避難」の方々の苦悩や、「安全神話」についての反省の必要性は、たくさんの方がいろいろな表現で書いてくれていたと思います。皆さまの意見が伝承館を少し変えたと、ウネリウネラは思っています。

 ただ、前回の記事でも書きましたが、これからも意見を届けることが必要です。きょう紹介した新しい展示パネルについてどのような感想をもったか、皆さまのご意見を募集します。もちろん、今日の記事に関連しなくてもOKです。「伝承」という営みについて、考えていることを寄せてください。お待ちしています!


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