原発事故の集団訴訟で「国の責任」と並ぶ大きなポイントとなるのが、原告たちへの「賠償水準」です。特に生業訴訟で注目されているのが、「賠償エリア」の問題でした。
この訴訟の原告団は、福島、宮城、茨城、栃木の4県に住んでいた人が集まっています。この中には、国の賠償基準(中間指針)や東電の自主賠償基準では対象外の地域もあります。これらの地域に対して、裁判所が「賠償エリア」を広げるかが注目されていたのです。
この点についても仙台高裁は、原告団の訴えを一審以上に認める判断をしました。
具体的には、福島県内でも新潟に近い内陸部の「会津地域」、また、宮城県内、栃木県内の地域でも、原告の一部(子どもと妊婦のみ)に対して慰謝料として数万円を支払うべきだと認定しました。
たとえ、慰謝料の金額は少なくても、これはとても大きなことです。震災当時首都圏に住んでいた私でも、原発事故による放射能汚染の不安はありました。これが福島県内の会津や福島に隣接する宮城の人々であれば、その不安はいかばかりかと想像します。そうした人たちが、これまでは「事故と無関係の人」とされてきたのです。
たとえ少額でも慰謝料が認められるということは、「事故の被害者」と認められた、ということです。ご本人たちにとって天と地ほどの違いだと思います。
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