【新潟市水道局職員自死事件】結審。判決言い渡しは11月24日に。

報道

 新潟市水道局に勤めていた男性職員(当時38歳)が、2007年5月に自ら命を絶ちました。遺族は上司(A係長)からのいじめ・ハラスメントがあったと指摘しています。遺族が水道局に損害賠償を求める裁判(新潟地裁)は8月4日に結審し、11月24日に判決が言い渡されることになりました。

新潟市水道局職員自死事件記事一覧


亡くなった男性の妻、Mさんの意見陳述

 亡くなった男性の妻Mさんは、7月19日に開かれた口頭弁論で、約7年にわたる裁判を締めくくる意見陳述を行いました。その内容を紹介します。

 裁判官の皆さま、結審にあたり陳述の機会をお与えいただき、誠にありがとうございます。また、この事件の真相解明に向けて、熱心に、詳しく、ご審理いただき、心より御礼申し上げます。

 私は、今から15年前の平成19年5月8日、最愛の夫を突然亡くしました。

 家族みんなで過ごした幸せいっぱいの夢のような生活は突然途絶え、乳飲み子を抱えての母子家庭となってしまいました。夫は子煩悩で、とても家族思いの優しい人でした。仕事に行く直前まで子どもたちに接してくれ、仕事から帰ってきた直後に子どもたちに抱きつかれても、疲れた顔を見せずに子どもたちと一緒に遊んでくれました。夫は、生きて子どもたちの成長を見守りたかったのです。また、子どもたちのためにも見守り続けなければならなかったのです。

 しかし夫は、係長からのいじめに悩み苦しみ、耐えきれなくなってしまい、愛する1歳の娘と4歳の息子を遺し、自ら命を絶ってしまいました。38歳でした。夫の無念を思うと胸が張り裂けそうになります。また、夫を助けてあげることができず、悔やんでも悔やんでも悔やみきれません。

 平成19年5月8日、夫は、自宅を出てわずか30分後、通勤途中にある入船みなとタワーから身を投げてしまいました。私は、ただひたすら夫が帰ってきてくれることを願い続けていました。夫の携帯電話に何度も何度も電話をしましたが、夫は出てくれませんでした。涙が出てくるときは、空を見上げ夫を探し続けました。

 お通夜の夜、子どもたちを寝かせつけた後、自宅のパソコンに遺書が打ち残されていたのを見つけました。そこには「どんなに頑張ろうと思っていても、いじめが続く以上、生きていけない。今まで我慢していたのは家族がいたから。でも限界です」と書かれていました。悔しくて悔しくて、涙があふれてきました。

 私は、真面目に働く者がいじめで命を落とすようなことがあってはならないと強く思い、公務災害申請を決意しました。夫が亡くなって4年後の平成23年11月、新潟市支部審査会は「公務上」という裁定を下しました。

 公務災害認定後、水道局からは、代理人を通じて、「話し合いで円満に解決したいので、審査会へ提出した資料を渡してほしい」と連絡がありました。大変悩みましたが、資料を渡しました。

 ところが、水道局は資料を入手すると、第三者委員会を設置することなく、局内で、管理職による圧力のかかった内部調査を行い、いじめ行為はなかったと結論づけています。

 いじめ・パワハラは人権侵害であり、権力の悪用です。そして尊い命を奪ってしまう犯罪です。

 夫が亡くなって15年、公務災害と認定されて10年たった今でも、水道局はいじめ・パワハラを否定し、裁判は終わっていません。本当に本当に長い間、悔しくて辛い気持ちを抱えたまま生きています。

 2020年6月1日、パワハラ防止法が施行されました。パワハラ防止法は働く人をパワハラから守る法律です。ですが、水道局は未だに組織を守ることに必死で、パワハラを認めません。職場で起こったパワハラを認めず、反省もない中で、本当にパワハラを防止することができるでしょうか。人間の尊厳というごく当たり前のことすらもないがしろにされたままです。

 私は、事実をもみ消そうとする水道局の姿勢を許すことができません。

 水道局には、夫の命を奪った責任を認めてほしいです。裁判官の皆さま、どうか公正な判決をよろしくお願いいたします。


公正な判決を求める署名活動

 判決言い渡しを11月に控えた今、原告のMさんら遺族側が切実な思いで続けているのが、署名活動です。判決文の内容を検討している裁判官たちに、「多くの人がこの裁判に注目しています」ということをアピールする目的があります。8月末に締め切り、 裁判所に提出する予定です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました