17日の最高裁判決では終わらせない【原発事故4訴訟の原告・弁護団】

 原発事故を起こした国の責任を追及する4件の集団訴訟について、最高裁は6月17日、「国に法的責任はない」とする判決を言い渡した。国の原発政策に転換を迫る画期的判決を期待していた人びとの落胆は大きい。

 しかし、原告や弁護士たちの活動がこれで終わったわけではない。4訴訟のうち「生業訴訟」は、「第2陣」の裁判が今も福島地裁で続いている。判決から一夜明けた18日、原告団・弁護団は第2陣の新しい原告を募る説明会を開いた。(ウネリウネラ・牧内昇平)


「最高裁では国に負けてしまいました。けっして油断していたわけではなく、出来る限りの力を尽くしてやってきました」

 18日午後、福島県南相馬市内。生業訴訟(生業を返せ、地域を返せ! 福島原発訴訟)に関心をもって集まった人びとに、弁護団の鈴木雅貴弁護士が呼びかける。

「皆さんにもご協力をお願いします。どういう被害があったか、しっかりと書き記してもらいたいんです」

 生業訴訟の場合、17日に判決が言い渡されたのは2013年3月に提訴した「第1陣」である。2016年提訴の「第2陣」は今も福島地裁で審理が続いている。新しい原告も募集中で、この日のような説明会を定期的に開く。集まった人びとはその場で書類に記入したり、あるいは「家族と相談する」と言って一度帰宅したりした。

原告加入の手続きを説明する鈴木弁護士(新型コロナ対策のパーテーション越しに撮影)=6月18日、南相馬市内、牧内昇平撮影。

 一審(福島地裁)、二審(仙台高裁)と国に勝ち続けた生業訴訟は、最高裁になって勝負をひっくり返された

仮に、経済産業大臣が規制権限を行使して、津波による事故を防ぐための適切な措置を講ずることを東京電力に義務付け、東京電力がその義務を履行していたとしても、津波の到来に伴って大量の海水が敷地に浸入することは避けられなかった可能性が高い。

最高裁判決要旨から抜粋

 説明会を終えた鈴木弁護士が筆者に語る。

原発事故の教訓は何なのか。私は社会的に定まっていないのではないかと思っています。司法の場で国の責任を問うというのは、原発の規制について国が何をしてきたかを社会に対して明らかにすることです。しかし、最高裁判決からはその教訓が見えてきません。『仮に国が規制権限を行使していたとしても、結局事故は起こってしまうのだから、責任はないよ』。そこからは何の教訓も得られない。私たちが求めてきたものに、最高裁判決は何も答えてくれていません」

 受け入れがたい最高裁判決にどう対抗するか。ここで「第2陣」の裁判の重みが今まで以上に大きくなってくるという。

「原告の方ひとり一人の救済はもちろん大事です。それと同時に、司法に対して事故の教訓は何かをしっかりと回答してもらう。そういう取り組みでもあるのだと思います。今回の最高裁判決には納得していない。おかしい。そのことを形として見せていくことは大事です。こんなに被害があるのに向き合わなくていいんですかと、第2陣でもう一度突きつけたいです」


 17日に開かれた記者会見・報告集会では、「生業」以外の3訴訟の原告や弁護士たちも、判決への怒りや落胆だけでなく、今後の抱負を語った。

 群馬県に避難した人たちが訴えた「群馬訴訟」の原告、丹治杉江さんはこう話した。

「このままでは納得できません。後続のたくさんの裁判の皆さんには、私たちの悔しさを受け止めて、しっかりと国の責任を明らかにしていってほしい。それと同時に、この裁判がいかに不正義であるかを伝えていくことが、これからの私の仕事になったと思っています」

 「愛媛訴訟」原告の渡部寛志さんはこの日、2人の娘と共に最高裁の前を行進した。

「原発の廃炉や、最終処分場の問題、処理水の問題、さまざまな問題をずっと何十年も抱えて生きていかなくちゃいけないのは、私たちのこども、未来世代です。ここであきらめて責任の所在をうやむやにされたまま終わる、それでは後世に残すものは何もなくなります。どのような方法で何をしたらいいか、私にはまだ分かりません。なんとか今の状況、これからの未来に対してプラスになる働きかけを、あきらめずに、していかなければいけないと思います」

 「千葉訴訟」の第2陣は、東京高裁での控訴審が続いている。福武公子弁護団長はこう話した。

「私たちは原告と共に、きょうの最高裁判決の論理の欠陥および矛盾を突いて、国の責任を認めさせるような高裁判決をもらって、さらにまた最高裁に行って、きょうの判決をひっくり返すような活動を進めていきたいと思っています」

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