映画から考える3・11

 憲法と社会問題について考えるウェブサイト「マガジン9」で続いている連載「映画から考える3・11」です。今回はニコラウス・ゲイハルター監督の『プリピャチ』を紹介しました。

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第8回:3・11から10年。これからの映画に何を期待するか 『プリピャチ』(ウネリ・牧内昇平)

 ゲイハルター監督はチェルノブイリ原発事故から10年以上が経過した頃、現地入りしてカメラを回しました。「事故のこと、チェルノブイリのことをメディアが報じなくなったから撮った」と言っています。

 話題になった『いのちの食べかた』(2005)のインタビューでも、この監督は似たことを言ってました。「欧州では一時期、食品の大量廃棄などが社会問題化した。時間がたって誰もそのことを報じなくなったので、私が撮った」と。時間が経過し、ともすれば人びとの関心が薄れてしまう中で、問題を掘り起こそうとする姿勢は見習うべきだと感じています。

 今年も3月11日が近づき、メディアの東日本大震災報道が増えてくる時期です。「十年」となる今年は例年に増して活発になるかもしれません。私(ウネリ)自身は今年の3月11日が過ぎてから、これからの十年で何を伝えられるかが大事だと思っています。

アップリンクのハラスメント問題について

 記事に関連してもう一つ触れておきたいのは、『プリピャチ』の国内配給元であるアップリンク社についてです。アップリンクでは昨年6月、元従業員の方々が同社代表からのハラスメント被害を訴えて裁判を起こしています。裁判は10月に、原告被告双方の同意により終了しましたが、元従業員の方々はその後も納得していません。

参考記事:https://www.bengo4.com/c_5/n_11374/

 それはそうだと思います。裁判まで起こすというのは、生半可なことではありません。悩み苦しんだうえでの提訴でしょう。会社がよほどのハラスメント防止に向けた努力を、しかも継続的に示さない限り、到底納得できるものではないと思います。

 長年過労やパワハラなど労働問題を取材してきた私にとって、看過できない問題です。提訴以降、直接取材して記事を書くことはできませんでしたが、ずっと気になっていました。

 今回の記事をマガジン9で配信するにあたり、私は少し対応を考えました。

 今回の記事をマガジン9で配信するにあたり、私は少し対応を考えました。『プリピャチ』は紹介する価値のある作品だけれども、アップリンクのハラスメント問題を見過ごしたくはない。思案した結果、以下のような「後文」を記事の末尾につけることで自分を納得させました。

映画『プリピャチ』の日本での配給元は「アップリンク」(東京都)です。同社をめぐっては昨年6月、元従業員5人が浅井隆代表からハラスメントを受けたとして損害賠償を求める裁判を起こしました。同社ホームページなどによると、裁判は、「ハラスメントなどを調査する第三者委員会の設置」などを条件として、原告被告双方の同意のもとで終了しています。しかし、原告たちはその後も「全ての問題が解決したとは考えていません」という声明文を出し、同社と浅井代表のハラスメント体質が解消されるかどうかに疑問を抱いています。筆者(ウネリ)はハラスメントなど労働問題の取材を続けてきました。映画『プリピャチ』は、原発事故から10年以上経過したチェルノブイリを撮った作品として、本企画で紹介する必要があると判断しましたが、そのことによって筆者がアップリンク社のハラスメント問題を不問に付している訳ではありません。裁判の終了とは関係なく、声を上げた人びとに真摯に対応し、再発防止のために本気で取り組むことを求めます。

 作品は作品として評価し、ただし紹介する際には必ずハラスメント問題も蒸し返し、「きちんと継続して対応してくださいよ」というメッセージを送り続ける。こういう手法をとってみました。いかがでしょうか。みなさまのご意見を聞かせていただけましたら幸いです。

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