メッセージ展「今、水俣から福島を想う」

福島

昨日、福島市の如春荘で開催中のメッセージ展「今、水俣から福島を想う」へ行ってきました。

水俣の方々から福島へのメッセージ、福島の方々が出会った水俣の言葉、福島からのメッセージが、パネルに綴られ、展示されています。

展示を企画したのは、熊本大学・石原明子研究室と、3・11以後福島でさまざまな対話の場を開き続けている「エチカ福島」。フライヤーから、主催者からのメッセージを引用します。

 東日本大震災それに続く原発事故から12年が経とうとしています。東日本大震災による被害は、見た目には「復興」が進んだように見えますが、人々の心の中や生活には癒されない傷がまだ残り続けています。とくに重大な環境災害である原発事故の被害は、半永久的に続き、それに対する「取り組み」が、社会の状況をさらにややこしくしているように見えることすらもあります。
 熊本大学石原明子研究室では、水俣病を経験した水俣地域の人々と原発事故被災者の交流をこの10年続けてきました。本メッセージは、この10年を経て水俣の人たちから福島への思い、そして、水俣に来てくださった福島の人たちの思いです。水俣病公式確認から55年目の年に起こった東京電力福島第一原発事故。二地域が背負った幾重にも重なり合うような課題とメッセージ。私たちはこの二つの地域で起こったことにどのように向き合い、未来にこの地球を手渡していけるのでしょうか。

熊本大学 石原明子

 エチカ福島は〈3.11〉以後の倫理を考えるために、これまでに様々なゲストを招き参加者との対話を試みてきました。その中には水俣からのゲストとの交流もありましたが、そこで私たちが求めたことは、ひとえに未曾有の公害事件を経験した水俣が得た教訓と希望でした。このたび熊本大学・石原明子研究室との協力で開催する本企画展でも、その思いは同じです。水俣の人々から福島へ向けられた言葉、そして福島から水俣とつながった人々の言葉一つひとつをご覧いただきながら、12年前の原発事故という人災について参加者の皆様と対話しながら考えを深める機会になれば幸いです。

エチカ福島

実際に展示を見て回ると、ひとつひとつの言葉があまりに重く、その場から動けなくなってしまうような気持ちも抱きました。これらの言葉を咀嚼するには、多くの時間が必要だと感じるとともに、この言葉たちを次世代へ「確かに」伝えていく責任があると思いました。

立ちすくみそうになるたびに、如春荘に差し込むやわらかな光と、開け放たれた中庭から吹く春の風を感じて、大きく深呼吸をしました。

(ウネラ=麻衣)


展示は12日まで。福島大学集会所「如春荘」(福島市森合台13-9)で11時~19時(最終日は15時まで)。11日14時~17時には会場内和室にて対話イベントを開催。展示パネルを読んだうえで、各々が思う「3・11」について語り合う。

コメント

  1. (ペンギンステップ)富田量子 より:

    記事を拝見して、はっとしました。
    熊本大学石原明子さんのご主人は、震災後、石巻で地域医療にご尽力された長純一医師だったのです。
    そして、地域や宮城県を思えばこその知事選にも出馬なされたのでした。
    私は街宣行進に応援のため、参加し(一度だけ)身近でその後ろ姿を拝見しました。
    何故わざわざ石巻だったのか、また、何故水俣➡️福島なのか、お二人に共通するその志と想いを、少し理解することができたような気がしました。
    奇しくも、今日は東日本大震災の日。立場、事情は様々ですが、喪失や傷みを背負って、今なお生きておられる勇気ある方々にエールを送りたいと思いました。

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