【汚染水海洋放出】みなさんの声②:「いつか来た道」「関心層をつくるには?」

報道

 東京電力福島第一原発の敷地内にたまる汚染水の海洋放出について、ウネリウネラはこれまでいくつかの記事で問題提起してきました。それに対し、読者の皆さんからご意見・ご感想をいただいています。何回かに分けて紹介します。


【せっきーさんからのご意見】

 いつか来た道

 東電福島第一原発に貯まる汚染水処理に関しては2021年4月13日に菅義偉内閣が海洋放出する処分方針を決めた。当時から風評被害を懸念する声は根強かったが、菅首相は「廃炉を進め、復興を成し遂げるためには避けて通れない課題だ。安全性を確保した上で実施する」と語っている。だが何をもって安全なのか、また地元の理解も充分に得られていない中突き進むのは政治判断でも何でもないだろう。
 このような信じがたい事がおきるのはひとえに日本の政治が長年事が起こる度に充分な検証をせず、スゴロクの如く振り出しに戻ったかのような行為をしているのが要因だ。
 実は12年前にも同じような事があった。
 当時の菅直人内閣が施設内に貯まっている高濃度の放射能汚染水の貯蔵場所を空ける為に緊急措置的に1万トン以上の比較的低濃度の汚染水を海に放出した事があった。
 この行為に対して周辺国が猛反発し、また日本政府の説明不足により食品の輸入規制も広がったのは記憶に新しい。当時を振り返り菅直人氏はもっと丁寧に説明に説明を重ねてやるべきだった、と語っている。
 「いつか来た道」とは言うが3.11で突きつけられたゲンパツという宿題をほったらかしにしていたツケが回り、また同じような過ちに舵をきる羽目になっている。また政治判断という名の下に国民の理解も合意形成も為されていない事が決まってしまっている

【ウネリウネラから一言】

 せっきーさんが指摘してくれたのは2011年4月のできごとです。

【4月10日 AFP】東京電力(TEPCO)福島第1原発から放射性物質を含む汚染水を海に放出したことに対し周辺国から懸念の声が上がる中、菅直人(Naoto Kan)首相は10日、「もう少ししっかりとした説明が必要だった」と述べた。被災地視察のため訪れた宮城県石巻市で記者団の質問に答えた。

 同原発では前週、原子炉の冷却作業の障害となっている汚染水の除去作業が本格化。施設内にたまっている高濃度の放射能汚染水の貯蔵場所を空けるために緊急措置的に、1万トン以上の比較的低濃度の汚染水を海に放出し、韓国および中国政府は、太平洋の海洋生物への影響について懸念を表明していた。

AFPBBNews:汚染水放出「しっかりとした説明必要だった」、菅首相

 事故直後から汚染水が大きな問題になっていたことを思い出させてくれるニュースです。もちろん日本政府も気づいていなかったわけではなく、少なくとも2013年末から「トリチウム水」についての会議を開いています(トリチウム以外にもALPSでは除去できない放射性物質はあるのですが…)。それからの議論が不十分だったため、<政治判断という名の下に国民の理解も合意形成も為されていない事が決まってしまっている>状況になったのだと思います。

 せっきーさん、ありがとうございました!


【「あ」さんからのご意見】

 続いて、「あ」さんが送ってくれたご意見です。

では

 芸能人や遊び要素に頼らずに「無関心層」を「関心層」に変える方法は、どんなものがありますか?

【ウネリウネラから一言】

 原発事故に関しては、たくさんの芸能人が政府主催のシンポジウムなどに招かれています。有名人や人気者を通じて政府の思惑がお茶の間に浸透していくのを、「あ」さんは苦々しく感じておられたのだと思います。

 でも、やっぱり「問題は無関心な人が多いことだ」という思いもあるわけですよね。無関心から脱してもらいたい。しかし「あのタレントが言ってたから海洋放出すべきだ」というのではなくて、自分で考えてほしい。「あ」さんはそういう気持ちなのだろうと思いました。同感です。

 無関心な人に関心を持ってもらうためには、やはり反対意見の存在を広めることが大事だと思っています。海洋放出が100%安全で、唯一の選択肢ならば、誰もが「まあしょうがないよね」という気持ちになり、関心を失ってしまうでしょう。

 でも、「タンクでの長期保管やコンクリート固化という案もある」とか、「安全面にも不安要素が残る」という指摘を聞けば、「え、どういうことだろう?」と関心を持つと思います。

 この点ではもちろんメディアの責任も大きいのですが、日本政府もその責任を負うべきだとウネリウネラは考えています。

 経産省は昨年末に海洋放出のテレビCMを流しました。〈みんなで知ろう 考えよう ALPS処理水のこと〉ということで、キャッチコピーだけ見れば、「海洋放出問題への関心を高めようとしている」ように取れますが、実際にはその逆です。

 経産省のテレビCM(電通が作成)は、政府の方針や見解をPRしているだけです。これでは政府の考えを「知る」ことはできても、その是非について「考える」ことはできません本当に考えてほしいならば、政府が自ら反対意見も紹介すべきです。

 具体的には、政府(経産省)がテレビCMや新聞広告、各種イベントなどを通じて海洋放出をPRする時、反対意見も一緒に紹介することを提案します。CMの放送時間を2分割して反対意見を発信する時間も設けたり、新聞広告のスペースを半分ずつ使ったり。仕組みづくりは簡単ではないでしょうが、こういうことを検討すべきだと思います。(本来であれば2021年4月13日の方針決定の前に、政府はこういう施策を進めるべきだったでしょう。)

 「あ」さん、ご指摘ありがとうございました!

皆さまのご意見を募集します

 海洋放出問題について、皆さまのご意見を募集します。長いものも短いものも、海洋放出を支持する意見も反対する意見もすべて歓迎です。お待ちしております。

     

     

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