原発視察ツアーへの疑問【海洋放出PR事業についてのご意見ご感想/もっと幅広く「みんなで知ろう。考えよう」⑧】

報道

経産省の海洋放出PR事業について、埼玉県在住のペンネーム「まんじろう」さんからご投稿をいただきました。ウネリウネラの雑談付きです。どうぞお読みください。

海洋放出PR事業についてはこちら↓

【「まんじろう」さんからのご意見・ご感想】

桜を見る会?

双方向コミュニケーション機会創出事業(JTB)。

なんだか、桜を見る会みたいですね・・・。

このツアーは、取材可能なのでしょうか?

各PR事業について、それぞれどのくらいの応募があったのかは、公表されているのでしょうか?

ちょっと気になりました。

もしも非公表だとすると、なんだか気持ち悪い・・・。

【ウネリウネラによる雑談】

JTBが請け負った福島第一原発の視察ツアー

ウネリ:昨年末の記事で、経産省が海洋放出PRのために行っている9つの事業を紹介しました。ペンネーム「まんじろう」さんはそのうち、JTBが請け負った「廃炉・汚染水・処理水対策の理解醸成に向けた双方向のコミュニケーション機会創出等支援事業」に注目しています。この事業の柱は「福島第一原発の視察」です。誰に視察してもらうのか。例示されているのは、生産者、加工・流通・卸業者、自治体、民間団体、教育機関。あとは「影響力のあるインフルエンサー」というのもありました。「まんじろう」さんはこれを「桜を見る会」みたいだと感じたんですね。

ウネラ:まず私たちも含め、「桜を見る会」についてのおさらいが必要ですね。

ウネリ:うんうん。もともと「桜を見る会」は歴代の首相が新宿御苑で開いていた花見なんだけど、安倍晋三元首相が自身の後援会関係者を大量に招待して問題になったんだよね。後援会は前日に高級ホテルで夕食会を開いていた。その会費が1人5千円というのは安すぎるんじゃないかと指摘されましたね。

ウネラ:今回の原発視察もそういう趣旨なのでしょうか?

ウネリ:まだ取材中です。まさか接待や饗応はしていないと思っておりますが……。

現地視察の危うい側面

ウネラ:実際にどんな視察をするのかは気になりますね。たとえば一般的なバスツアーを例に考えても、往復のバスだけ乗り合いで現地では各自自由行動というパターンと、全行程にガイドさんがついて回るパターンがあるでしょう。

ウネリ:原発の中は自由に立ち歩けるものではないから、後者でしょうね。

ウネラ:そうすると、そのツアーを通じ、自分の頭で自由に物事を考えることは、とても難しいでしょうね。東電の人か政府の人がずっとついて回り、自分たちにとっての「正しい情報」を伝えてくるんでしょうから。

ウネリ:そうだね。「現地視察」には常に危うい面がつきまとうと思います。政府にしろ東電にしろ、見せたいところだけを見せたいように見せてくるでしょう。相当の予備知識をもって参加しない限り、「海洋放出は安全」「東電の人はがんばっている」という感想ばかりになってしまいそうです。

ウネラ:なるほど。

ウネリ:原発の視察をやるんだったら、海洋放出に反対する人もガイド役を務めるといった工夫が必要かなと思いました。そう言えば、私たちが東電の廃炉資料館(福島県富岡町)に行った時も東電のガイドの方がずっとついてきましたね。もう3年前のことになりますが。

ウネラ:自分のペースで展示を見ることを阻まれるように感じ、うんざりしましたね。同様のことは「東日本大震災・原子力災害伝承館」(伝承館)でも感じました。

特集「伝承館は何を伝承するのか

決められた「順路」に沿うのではなく、自分のペースで行きつ戻りつしなければ、自分で考えることも難しくなってしまう気がするんです。

海洋放出PRのアニメ動画

ウネリ:「自分で考える」ことが大事ですね。そういう意味で思い出すのは、海洋放出PRのアニメ動画です。これまで話題にしてきたテレビCMと合わせて、電通が関わっている「国民理解醸成活動事業」はアニメ動画も作っています。経産省のウェブサイトで見ることができます。

ウネラ:ふむふむ。

ウネリ:この30秒のアニメ動画は、記者が主人公です。原発を視察した記者が、東電の人の説明を受けながら多核種除去設備(ALPS)や建ち並ぶタンク群を見学し、最後に太平洋を見つめてうなずくシーンで終わります。「記者は原発を取材して海洋放出が必要だと確信した」という感じになっています。でも、視察して東電の説明を聞くだけでは不十分です。現場を知った後、多方面から情報を集めて、最終的には「自分で考える」必要があると思います。

ウネラ:アニメ動画は経産省のウェブサイトに公開されていますので、皆さんにご覧になってほしいです。そのうえで、こちらについてのご意見もいただきたいですね。

ウネリ:最後に。「まんじろう」さんからは「各PR事業について、それぞれどのくらいの応募があったのか」というご質問もいただきました。これについても今は分かりません。すみません。取材中ですので、いつか紹介できると思います。


皆さまのご意見を募集します

まんじろうさん、ご投稿誠にありがとうございました。

海洋放出問題について、皆さまのご意見を募集します。長いものも短いものも、海洋放出を支持する意見も反対する意見も、なんでも大丈夫です。お待ちしております。

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