【汚染水海洋放出】みなさんの声②:「非力かつ愚かな私に行き着く」

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 東京電力福島第一原発の敷地内にたまる汚染水(政府・東電は「ALPS処理水」と呼ぶ)の海洋放出について、いくつか記事を書いています。先日は、市民たちによる「汚染水を海に流すな!5.16東京行動」の様子を紹介しました。

 この汚染水問題について、埼玉県にお住まいの大石敦さんが感想を寄せてくださったので紹介します。※トップ写真は「汚染水を海に流すな!5.16東京行動」の一場面です。


【大石敦さんからのメッセージ】

非力かつ愚かな私に行き着く

私が大学生の頃、1993年から97年も所属の経済学部にて環境経済学に関して様々な講座にて紐付けられ学び、個々に考え、教授も交えて討論致しました。
教授も学生側も真摯に直近の課題、例えば気候変動と世界経済の行末を考査していたと体感しております。
その当時、原発が事故を起こす。という課題は皆無でした。
まだ手塚治虫の鉄腕アトムに描かれる理想的な世界感を私も含め教授達も信じていたのだろうか。とも捉えます。

福島の原発事故以降、汚染水の処理も含め処理にあたる作業員の方々、漁業関係者の方々から食卓に上がるまでの困難を私は今も見続けております。
何か協力したくとも福島産の魚貝類を購入支援する術しか持ちません。

アルプスに依る汚染水が安全性を持ち得ないものである事はTBSラジオの崎山記者の取材報道にて知りました。
タンクに留める汚染水が許容範囲を越える事や海洋放出しなければならない事も。
東日本大震災にて流されたハーレーダビットソンが米国に流れ着いた事も。
子供の頃、千葉県の九十九里の近くに住む祖母から「海も川も世界中みんなの宝物。」と教えられた事も思い起こしました。
とても歯痒い気持ちと同時に私は大学にて何を討論していたのだろうかと。あの時も原発は稼働していたのにです。

汚染水の海洋放出は時間の問題ですが、その後に起こり得る問題は、あまりにも巨大です。

今後、何世紀も抱えていく事を考えるに、せめて現政権の下に実行される原発再稼働に反対の意を唱える事しか持ち得ない私自身の非力さ。
過去も鑑みて、私も無責任かつ愚かな存在であると感じます。
正確な事は、世界中の国々から非難されても賠償を求められても致し方の無い、取り返しのつかない現在進行系の原発事故である事という現実です。

私は、この現実に生涯向き合っていかねばならない。原発反対の声を上げていかねば。と考えます。


【ウネリウネラから一言】

 大石敦さんの文章のタイトルは「非力かつ愚かな私に行き着く」。学生の頃原発について危機感をもって議論していなかったことから書き起こし、「過去も鑑みて、私も無責任かつ愚かな存在である」と書いてくれました。筆者(ウネリ)も同じような気持ちがあります。新聞記者として2006年から3年間、福島県で働いていました。しかし、原発への問題意識はとても低く、いわゆる警察回りばかりやっていた記憶があります。あまりに無責任かつ愚かです。と同時に、大石さんが書く通り「非力」でもあります。

 無力感に襲われることもありますが、それでも「何かしておきたい」という気持ちで活動しています。日本政府は汚染水について、海洋放出以外の処分・保管方法を十分に検討したとは言えない状況だと思います。また、海洋放出時のリスクについても国民への説明が一方的ないし不十分ではないでしょうか。これらのことをきちんと指摘する、あるいは指摘している人の声を多くの方に伝えることが、ウネリウネラの仕事かなと思っています。

 「自分語り」になってしまいました。私のことはともかく、大石さんのような気持ちで日々を送ってらっしゃる方はたくさんいると思います。深く共感いたしました。

 大石さん、ご投稿ありがとうございました!


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海洋放出問題について、皆さまのご意見を募集します。長いものも短いものも、海洋放出を支持する意見も反対する意見も、なんでも歓迎です。お待ちしております。

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