【お知らせ】福島復興再生基本方針のパブコメの結果について

 少し時間が経ってしまいましたが、今年3月10日に下記2本の記事をアップしました。

【お知らせ】福島復興再生基本方針のパブコメ募集期間が短すぎる件

福島復興再生基本方針へのパブコメ

 「福島復興再生基本方針」とは、原発事故とその影響にどのように対処するかを書いた国の方針です。復興庁が2021年3月にその「方針案」を作り、一般市民に対してパブリックコメントを募集しました。しかし、パブコメの募集期間は「3月1日から11日まで」と、とても短い設定でした。

 ウネリウネラは、「パブコメの募集期間が短すぎるのは市民軽視である」と思いつつ、「でも、無視していても状況は改善しないので、とりあえずウネリウネラも意見を寄せてみます」ということで、上の2本の記事を書き、アップしたのでした。

 そのパブコメの結果はどうなったのか。お知らせしたいと思います。


「食品の放射線基準値」に多くの意見

 復興庁は3月26日に、パブコメの結果を公表しました。

https://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-4/20150702103006.html

 その発表によると、445件の意見が寄せられたそうです。ウェブサイト上には、意見の内容と、それに対する復興庁の回答が載っていました。

 どんな意見が多かったのでしょうか。一番多かったのは、「食品の放射線基準値」に関する意見でした。詳しくは3月10日の記事を読んでもらえればと思いますが、いま、自民党内には野生のキノコや山菜の放射線基準値(現行「1キログラムあたり100ベクレル」)を緩和しようという動きがあります。これに合わせて、「福島復興再生基本方針」の原案にも、以下のような一文が入りました。

発災から 10 年が経ち、様々な知見やデータが蓄積されたことを踏まえ、食品等に関する規制等について、科学的・合理的な見地から検証する。

 

 この部分に不安を感じた人が多かったようです。パブコメには、以下のような意見が寄せられていました。

・食品の放射線基準値を1,000Bq/kgに引き上げることには断固として反対する。


・基準値を引き上げ、未来ある子供たちにリスクを負わせることは断固として反対。


・胎児や乳幼児など、リスクが高く守られている集団への影響を考えるならば、今よりもっと規制強化をすべき。

・基準値を超えた野生キノコや山菜が流通している実態を把握し、監視を強め、測定データを公開すべき。

・開かれた自由な討議の場を全国に設けてほしい。「科学的・合理的」だと判断するのは消費者であるべき。

 

 「食品の放射線基準値」に関連するパブコメは400件以上にのぼりました。

 これに対する復興庁の回答は以下の通りです。

野生のきのこ、山菜、ジビエ等の栽培/飼養管理が困難な品目は依然として出荷制限がかけられている状況であり、震災から10年が経過し、食品中の放射性物質に係る様々な知見やデータが蓄積されたことを踏まえ、様々な出荷制限の運用等について科学的知見に基づき検証するため、本基本方針に「食品等に関する規制等について、科学的・合理的な見地から検証する」との記載を行ったものです。当然ですが、消費者の安全が大前提です。皆様のご意見も踏まえながら、福島の本格的な復興・再生に向けて取り組んでまいります。

 字数を割いて説明していますが、よく分からない内容です。

 この問題に熱心に取り組んでいる市民団体「みんなのデータサイト」事務局の中村奈保子さんはこう指摘します。

「『科学的、合理的な見地』とは、何のことなのか。消費者や福島で山菜やきのこを採取する人の意見をきちんと聞いていくのか。そういう回答が全くなく、不十分に感じました。」

 ウネリウネラが書いた意見はどうなったでしょうか。復興庁の発表資料を調べた結果、たとえば「風評」という言葉について、以下のようなウネリウネラの意見が掲載されていました。

・「風評」ではなく「実害」として解決されていない問題も多いのではないか。「風評」という言葉の強調により、いまだ実害があるという可能性が覆い隠されてしまう危険性を感じる。


・放射線による健康影響はすべて、「不安」と表現されている。不安へのケアは必要だが、それ以前の問題として、「健康影響が実際にあるのかどうか」を十分に検討しなければならない。放射線の健康影響は心の問題だと決めつけているように感じる。

 これに対する復興庁の回答はこうです。

風評払拭には、正確で効果的な情報発信や、リスクコミュニケーションの推進が必要であると認識しており、皆様のご意見も踏まえながら、福島の本格的な復興・再生に向けて、引き続き取り組んでまいります。

 うーむ……。風評ではなく「実害」があるのではないか、それをきちんと調査し続けることが先ではないか、という意見だったのですが……。

 復興庁からの回答は、以上でした。


パブコメは生かされたのか?

 ここから先は、「パブコメがどのように生かされたのか」について考えたいと思います。

 パブコメの「募集結果」が公表されたのは3月26日です。それと同じ日、内閣がこの「福島復興再生基本方針」を閣議決定しました。

 復興庁が3月1日に提示した「方針案」と、閣議決定された文章をざっと読み比べましたが、大きな変更点は一つもありませんでした。パブコメによって、「福島復興再生基本方針」の内容が修正されることはなかったのです。

 そもそも、この「福島復興再生基本方針」は2020年度内の閣議決定が予定されていました。

 パブコメをもとに本気で原案を修正する気があるのならば、3月中旬に意見を募集すること自体、遅すぎたのではないでしょうか。445件のパブコメは今後どのように生かされるのでしょうか。

 復興庁の担当者は

「パブコメとしていただいたさまざまな意見は文書に残り、関係省庁で共有し、政策づくりの参考にします。また、いただいたご意見に対する政府の見解も示しておりますので、パブコメの募集は意義があったと考えています。」

と言いますが、パブコメが単なる「ガス抜き」、「国民の皆さんの意見も聞きました」というアリバイ作りに使われてはいけないと思います。

 パブコメを募集するのなら、意見の募集期間、一つひとつの意見に対する検討期間はきちんと確保すべきです。

 本日は以上です。集まったコメントは445件。ウネリウネラの記事を読んで、コメントを書いた方もいらっしゃるかもしれないと思い、結果を報告しました。以前の記事にも書きましたが、問題に対し一人ひとりが意見を表明し続ける営みは、とても大事だと思います。

 この「ウネリウネラ」というサイトも、読者のみなさんのさまざまな意見表明や議論の場となりたいと思っています。ご意見、ご投稿、いつでも大募集です!日頃考えていることやさまざまな疑問、議論したいテーマなど、ご自由にお寄せください。 ⇒ uneriunera@gmail.com

 よろしくお願いします。


お知らせ

 市民団体「みんなのデータサイト」は、食品や土の中にある放射性物質の量を測っている団体です。

 原発事故以来、全国各地で市民グループによる放射能測定が行われてきましたが、3・11から10年が過ぎ、新型コロナウイルスの問題などもあって、どの市民グループも活動資金が枯渇してきているそうです。

 そこで、活動を続けるための資金集めをクラウドファンディングで行っています。ご関心のある方は、下のリンクをどうぞ。6月10日23時59分までです。

https://motion-gallery.net/projects/the10thfukushima

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。