保育園のクラスター化を防ぐために

4月14日付朝日新聞福島版に、このような記事を書きました。

全国的な課題だと思うのですが、デジタル版にはアップされていないようなので、紙面の写真を載せます。

少し見づらいかもしれないのですが、ご覧ください。

2020年4月14日朝日新聞福島版

主な内容は記事の写真の通りですが、ここでは少しだけ補足点を書きます。

まず、「濃厚接触者」について。

福島市は、感染者が発熱や倦怠感などの症状を発した日以降に濃厚接触(いわゆる「三密」)した人を「濃厚接触者」と判断しています。

確かに、政府はそのような考え方を示していますが、これは「一般論」でしかありません。

症状が出ていなくてもウイルスが体内にあるからこそPCR検査で陽性と判断されたわけであり、本人が無症状でも周囲に感染させる可能性があることはすでに周知の事実です。

しかも、今回の感染者は保育園児です。

記事中で愛知県立大の清水宣明教授が述べている通り、保育園の環境は「三密中の三密」です。

小さな子どもたちと保育士が、限られたスペースの中で食事や昼寝を共にし、長時間「生活」しているのですから、当然です。

子どもが泣いたら、保育士の先生は抱っこしてなだめるでしょう。「密です」と言って、遠ざけることができるでしょうか。成人も含めた「濃厚接触者」の考え方がそのまま適用できるとは思えません。

では、保育園に通う子どもに感染者が出た場合どうすべきか。この点についても政府は考え方を示しています。

まず子どもが発熱などの症状が出ている状態で登園していた場合。政府はこの場合、「当該保育所等の一部または全部の臨時休園を速やかに判断すること」としています。

今回の福島市の保育園のように、園児がまだ「発症」していない場合はどうすべきか。政府はこう書いています。

「一律に臨時休園が必要とまでは言えない可能性もある」

この文言をみて、皆さんはどう思いますか? 

私は、「基本は休園。特別な事情があった場合のみ、休園までは必要ない」と読みました。

さらに言えば、今回の福島市の園児は、すでにお父さんの感染が確認されています。勤務先で感染したものとみられていますが、このお父さんはすでに今月3日から発熱の症状がありました。それからお父さんの陽性が判明するまで、父子は同じ家で過ごしていました。

園児の体内にはかなり前から新型コロナウイルスが入ってしまっていた可能性があり、その後9日まで登園していたことを考えると、残念ながらそのウイルスは、ほかの園児や先生にまでうつってしまった可能性も否定できません。

こうした状況を考え合わせると、私は当該保育所のすべての園児、職員を濃厚接触者と考えるべきだと思います。

保育所は最低でも2週間は休園とし、その期間中は(本当に大変ですが)すべての園児と職員に自宅待機を求め、PCR検査も実施すべきだと思います。

父子のその後の経過が良好であることを、切に願っています。

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