俳句とか、少しずつ。更新滞り気味です。
冬
縄跳びの子ども大きな海の中
畳紙に晴着重たき冬の朝
べそかいてだまりこくって冬夕焼
銃口の先三歳の子熊なり
ぬくみみな伝へ尽くして懐炉冷ゆ
大喧嘩してさっぱりとおじやとす
冬帽子かぶせ次々野放しに
ふたりきり煮魚に良き鰤選ぶ
折り紙の花のこぼるる風邪籠り
年の暮どこへも行かぬ空があり
真四角の箱出でにけり枯れ野へと
きりたんぽ電子煙草の父無口
竹馬や出会ふ前まで好きな人
秋
はらいたの子に添ひ寝する盂蘭盆会
磯場より見上ぐる雲や秋立ちぬ
山の中やがて蜻蛉の海の中
兄弟の影もつれたる良夜かな
金木犀二歳の今朝のしづかなり
桃色のほつぺの中は葡萄かな
夏
花は葉に君にひと日のこと聞きて
ぺたぺたと触る絵本のかたつむり
睡蓮やそつと降ろさん子の寝息
こどもの日種に被する土黒し
のびちぢみのびちぢみせむ夏きたる
薔薇園やあらん限りの幸の果て
弁当の隅にがらんと夏は来ぬ
カンパネララ・カンパネラ緋鯉浮く
ほがらかや君に隣れる夏木立
一人づつさなぎとなりぬ夏蒲団
胡瓜には水をやるらし反抗期
日盛りやマリオネットの糸垂るる
ふるさとの朝にひらめく川蜻蛉
春
ふきのとうまたおちょぼ口とがらせて
氷水に目覚めて青し春の蕗
雪解水いのち孕みて濁りけり
やはらかき紙に包めるつくづくし
ひざまずく懐かしさなり黄水仙
春の夜に開く切り花の切られ口(20190411フラワーデモ@東京)
車ごと浸かってゆきし春の宵
手遊びの指の間を木の芽風
蜜蜂の吸ひつきて底なき渇き
春の野に三人の子の立てこもり
注ぐ日を泡立ててゆく白き蝶