映画「AFTER ME TOO」上映会スタート!

11月11日金曜日午後1時、いよいよ映画「AFTER ME TOO」の上映会がはじまりました。福島市内の映画館「フォーラム福島」には、平日にもかかわらず、多くの方が鑑賞に来てくださいました。

上映終了後は弁護士の馬奈木厳太郎氏を招き、アフタートークを行いました(司会はウネラ!)。馬奈木氏は原発事故被害者救済訴訟の一つ、「生業訴訟」の弁護団事務局長ですが、映画、演劇などに造詣が深く、こうした分野のハラスメント防止活動にも携わっています。作品の感想や国内のハラスメント問題の現状などを語っていただきました。ごく一部ですが、その内容を紹介します。


ゲストトーク:馬奈木厳太郎さん

「激しく」ではなく、「淡々と」、「切々と」

ウネラ:馬奈木さん、本日はよろしくお願いします。はじめに作品の講評を。

馬奈木:いきなりむずかしい質問ですね。お隣の韓国に比べて日本は2周も3周も遅れているなと感じる分野がいくつかあります。この作品が取り上げているのはまさしくそうしたテーマの一つです。AFTER ME TOO。MeToo後の課題を4つの角度から提示しています。「激しく」ではなく、「淡々と」、「切々と」。それだけにすごく説得力があると思いました。

馬奈木厳太郎さん

ウネラ:同感です。

馬奈木:この作品の中では「連帯」という言葉が出てきたり、「性暴力撲滅委員会」という具体的な組織の名前が紹介されたりしています。または、この作品の最後に示されていました、ハラスメント問題は一人ひとりの認識や行動の問題でもありますが、それが社会とつながり合わないと変えられない、ということですね。

また、日本にいる私は当然、日本の状況に引きつけて作品を観ざるを得ません。日本でも同じような被害は当然起きています。直近で話題になっている方は、自衛隊の隊員だった方です。その方はSNSで声を上げ、メディアや国会議員も注目して、自衛隊のほうも少し対応しました。自衛隊という組織の中で、被害者があの方だけではないはずです。

あるいは、私は演劇や映画、テレビに関わる方のハラスメント、性的なものもパワハラも、相談を受けています。週に少なくとも一人は相談にお見えになるというのが、最近の状況です。

ハラスメント防止研修の現場から

ウネラ:馬奈木さんは演劇や映画の製作現場でハラスメント防止講習なども行っていますね。どんな内容なのでしょうか。

馬奈木:だいたい週に1回、劇団やドラマの制作現場でハラスメント講習をしています。舞台の場合、公演の約1か月前から稽古がはじまるので、その最初に講習を行うようお願いしています。最初の段階で行いたい理由は二つあります。まずは、私のような相談窓口があるよ、アクセスできるよとお知らせしたいということ。もう一つは、現場で共通認識をつくることです。結局、構成員の中で理解がバラバラなんです。何がハラスメントなのか、どこからがハラスメントなのか。まずその共通認識をつくる必要がある。安全な場所、安全な関係の中で作業をしましょう、ということです。

ウネラ:性暴力、ハラスメントの問題はなくならないのでしょうか?

馬奈木:たとえばパワハラについては、今年の4月から中小も含めてすべての企業に防止措置を講じることが義務付けられました。私は冒頭で「日本は2周も3周も遅れている」と言いましたが、それでも対策は少しずつ進んでいます。この法制度についても当然まだまだ不十分な点はたくさんありますが、これまでたくさんの方々が声を上げて変わったのは事実です。

でも、日常で価値観が刷り込まれている部分もあります。テレビで流れる洗剤のCMを思い出してください。男性の人気俳優が「ありがとう。きみと●●●(商品名)」。“きみ”に想定されているのは女性のパートナーでしょうか。なぜ、あなたが自分で洗濯をしないのか、という話です。こういうところから刷り込まれていく。一つひとつの気づきで変えられるところはいっぱいあると思います。

作品に戻りますと、この「AFTER ME TOO」の中では、高校生なら高校生が、あるいは地元に帰って、登場人物の一人ひとりが身近なところで声を上げているところを見せてくれました。私たちがこれをどう受け止めるかがとても大事だと思います。

上映後トークの様子

被害のことを相談された人がとるべき対応

ウネラ:私の場合、一人で抱えているのがつらくなって誰かに被害のことを聞いてもらおうとした時、「もうそれ以上話さなくていいよ」と言われたことが何回もありました。会社の上司の人なども、そういう対応が多かったと思います。話を聞くのを拒まれ、苦しい思いをしました。性被害の相談を受けた時、聞く人はどのような対応をするのが望ましいでしょうか?

馬奈木:これは本当に難しいです。たとえば、演劇の俳優が演出家からホテルに呼び出され、被害に遭った場合です。相談を受けた人が一番言ってはならないことは「なぜ、あなたは行ったの?」です。一番後悔しているのは本人です。

先ほどの「それ以上言わなくていいよ」という言葉は、その人の善意から来ているのかもしれない。でもひょっとすると、「問題に蓋をしたい」「自分は関わりたくない」ということなのかもしれません。そこは二面性があるのだと思います。

対応の仕方によって二次加害になってしまう例はたくさんあります。さらに言えば本来は相談窓口として機能すべきところで、そういう二次加害が起きてしまうことも多いです。その典型例が警察です。たとえ組織内で研修などを行っていたとしても、実際に誰かが対応する時、その対応する人の普段の認識が露わになってしまうのだと思います。

「私とあなたはちがう」。この当たり前のことをどれだけ認識し、それを日々の行動に移していけるかです。相手は少なくとも自分と同じだけの価値がある。それが分かっていれば、相手をコントロールしよう、支配しよう、見下す、という発想にはならないはずです。相談を受ける時にも、相手は自分と同じ価値を有している人であるという意識が本当にあれば、二次加害を与えるような発言はしないはずです。

「Sympathy」という言葉があります。「共感」などと訳されますが、どちらかと言うと直感、感覚的なものですよね。似て非なる言葉として、「Empathy」という言葉があります。「共感力・共感することができる能力」です。こちらは直感というよりも能力ですから、訓練や意識づけで得られるものです。これが大事な要素です。

会場からご発言

観客の方:事業者はハラスメントを防ぐためのルールを守りなさいという法律ができました。各事業所、事業者は、そのためのマニュアルをすでに作っているでしょう。でも、私が率直に感じているのは、「ハラスメントをやってしまった時に、訴えられないためのマニュアル」が作られているだけではないか、ということです。この点、いかがお考えですか?

馬奈木:全国の事業所が使用者の責任においてハラスメント防止のための対策を義務付けられました。これはもちろん百点満点ではありませんが、一歩前進だと私は評価しています。それに基づいて各事業所がどのような対策をとっているか。ここにはご指摘の通り、ある種の責任逃がれ的な要素はあるでしょうね。

私に言わせれば法律でできることはそんなものです。法律があろうがなかろうが、ハラスメントはダメなんです、という話です。社会を構成する一人ひとりがどう意識し、考え、行動するか、という話です。思い出してください。今日の作品は、元「慰安婦」の方の証言ではじまっています。このエピソードを冒頭にもってきたところに、作り手の強いメッセージを感じます。この方たちが性暴力被害に遭ったのは、証言の40年も45年も前の話です。さらに言えば、その証言から現在まで、さらに30年くらいたっています。

連綿と声を上げていく。それは、私たちも一緒でしょうということです。作品の中にありました。“一緒に声を上げてくれた人が私にとっての家族だ”と。そういうことだと思います。

私たち自身が地道にやっていくしかないと思います。簡単ではないですが、「変わらない」とは思いません。「変えられない」と思ったことは一度もありません。

質疑応答のワンシーン

12日ゲストは申琪榮さん!

観客の皆さん、馬奈木さん、誠にありがとうございました。

きょう12日土曜日は、お茶の水女子大学の申琪榮教授をゲストにお招きします。

今年1月、お茶の水女子大学のジェンダー研究所が「#MeTooの政治学」という国際シンポジウムを開催しました。一般参加が可能なこのシンポジウムを聴講したのがきっかけで、ウネラは本作「AFTER ME TOO」と出会ったのでした(シンポジウム参加者限定でこの作品を視聴)。

シンポジウムの総合司会を務めていたのが申琪榮氏でした。#MeToo運動の成果と課題。日韓のフェミニズムの現状など、あらゆる角度から語っていただけると思います。楽しみです。

劇場内では、期間中に登壇してくれる5人のゲストの方々の関連書籍も販売しています。

申琪榮さん監修で、あとがきも書いている『#MeTooの政治学:コリア・フェミニズムの最前線』(大月書店)は、必読書といっていいほど大切な本だと考えています。性暴力の問題を深く知る/ 学ぶ ことができます。書かれているのは韓国のことですが、もちろん日本にもそのまま通じる内容です。

同じく大月書店の書籍としては、『ハッシュタグだけじゃ始まらない:東アジアのフェミニズム・ムーブメント』(熱田敬子ら編著)も劇場内で販売します。『#MeTooの政治学』と一緒にぜひ読んでほしい本です。韓国だけでなく東アジア各国の動きが「熱量をそのままに」伝わってきます。韓国、中国、香港、台湾。各地で運動を引っ張っている人たちが執筆している労作です。

ウネラ手作りの「AFTER ME TOO」特製パンフレットもあります!

※4人の監督にメッセージをもらおうとしたら、流れで書面インタビューすることになり、皆さんとても丁寧に答えてくれたので会場で読み上げるわけにもいかなくなって、一念発起でパンフレットを作った……という経緯。ウネラによる翻訳。


それでは、劇場で会いましょう!

来られない方はぜひ、メッセージをお寄せください。

劇場内に皆さんの言葉をふせんで貼っています。上映会1週間のうちに劇場の壁を「#MeToo」「#Withyou」で埋め尽くしたいと思っています!

One thought on “映画「AFTER ME TOO」上映会スタート!

  1. ココラジで
    うねりさんや
    映画を知り
    ぜひ観覧したいと思いました。

    関心をもつことが
    小さなきっかけになる。

    正直
    性暴力について
    意識したことがありませんでしたが
    このような事実を知り、自分は
    何ができるのか考えました。

    勇気を出して
    話してくれたひとの心に寄り添いたい。

    自分ごととして
    考えなくてはいけない。

    1人でも多くの人が聴く耳を持つことで
    社会は変わると思います。

    ボクはトランスジェンダーです。
    性暴力被害者では
    ありませんが
    生きづらさを抱えていました。

    自認する性で
    生きるために
    自分の思いを
    声にしてきました。

    トランスジェンダーの先輩方に
    自分が
    metooすることで
    これからを生きる
    トランスジェンダーのこどもたちが
    明るく生きようと思える社会に
    なることを
    こころから
    願っています。

    ボクは
    保育士を志しています。
    ボクにしかできない
    子供たちとの向き合い方を模索したいと
    思っています。

    ジェンダー平等な社会
    となりのひとを尊重する心

    声を上げ、
    耳を傾け
    前を向いて進もう。

    うねりさん
    ありがとうございます。

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